特定機能病院の承認要件見直し 全死亡例に報告義務

群馬大病院や東京女子医大病院で死亡事故が相次いだことを受け、高度な医療を提供する大学病院などの「特定機能病院」について、厚生労働省は、新たな承認要件をまとめた。入院患者の死亡例はすべて、医療安全を担当する部門への報告を求める。今年4月以降は、要件を満たさなければ、承認の取り消しが検討される。

厚労省の専門家会議に28日報告し、大筋で了承された。

死亡例は医療事故が疑われないものも含めて全例が報告対象になる。死亡していなくても、通常であれば必要とされない治療などをした事例も報告させる。また、医療安全を担当する部門には、医師、薬剤師、看護師の各1人を専従させることを原則として求める。

いずれも4月をめどに実施するが、準備が間に合わない病院もあるため、一定の経過措置期間を設ける。

厚労省によると、特定機能病院は全国に84カ所。群馬大と東京女子医大の両病院は、昨年6月に承認を取り消している。

出典:朝日新聞

新発田病院医療事故、調停成立へ

県立新発田病院は10日、右大腿(だいたい)骨の手術をした女性患者の体内に27年間ガーゼを放置した医療事故で、民事調停が成立する見通しになったと発表した。女性の右膝は可動域が4分の3程度で、正座できない後遺症がある。損害賠償額は約870万円。県は県議会2月定例会に関連議案を提出する。

病院によると、女性は1987年に新発田病院で右大腿骨の固定手術を受けた。病院はその際に、血を拭くためのガーゼを置き忘れたという。2014年に別の病院で右大腿骨の腫瘍を摘出したところ、ガーゼが発見された。

県は昨年12月、新潟簡裁に民事調停を申し立てた。今年1月に裁判所の調停案が示され、女性側が同意した。県立新発田病院の石附由美子事務長は「明らかに病院側のミスで後遺症を残す結果となり、大変申し訳ない。今後は再発防止と安全な医療の提供に努めたい」と話している。

出典:新潟日報

県立こども病院投薬ミス 専門医「非公表は問題」

兵庫県立こども病院(神戸市須磨区)で9日判明した心臓病の乳児に対する投薬ミスは、家族の申し出により非公表となっていた。県内では、家族の同意がなくても医療事故を公表する公立病院があるが、県は2014年に基準を変更した。専門医や別の患者家族からは「家族の意向を理由に医療過誤を公表しないのは問題」との声が上がっている。

県立病院では医療過誤で障害が残ったり、死亡したりした事故を原則公表している。だが「個人情報が特定され、精神的な苦痛を受けた」などと抗議を受ける事案が複数発生したため、14年から、医療過誤の事案でも患者や家族から非公表とするよう文書で申し出があれば公表しないよう基準を変えた。

県によると、今回以外にも別の家族から非公表を求める申し出があった。県の担当者は「情報公開という点では後退したととらえられる可能性はある」とし、公表基準を再度議論したいという。

医療事故の公表基準は公立病院でもさまざまで、神戸市立医療センター中央市民病院などを運営する神戸市民病院機構では、事前に患者・家族の同意を得るよう努める一方、同意が得られない場合も患者のプライバシーに配慮しつつ、原則公表している。

子どもの心臓病に詳しい県内のある専門医は「県立病院は公的な存在で県民には知る権利がある。県や病院という身内が公表の有無を判断するのは問題。医師が誤って薬を投与しただけで十分公表に値する」と指摘。子どもが心臓病患者という女性は「こども病院は県内では子どもの心臓病患者にとって最後のとりで。患者や家族の特定につながらないようにしながら、起きた事故はオープンにすべきだ」と話す。

出典:神戸新聞

千葉市立海浜病院

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所在地

〒261-0012
千葉市美浜区磯辺3丁目31番1号
千葉市美浜区磯辺3丁目31番1号

公式サイト

千葉市立海浜病院

2県立病院でCT画像確認ミス 兵庫県

兵庫県は11日、県立がんセンター(明石市)と県立柏原病院(丹波市)で、コンピューター断層撮影(CT)の結果報告の確認ミスがあったと発表した。

県によると、がんセンターでは神崎郡の60代女性が6月、過去の腎臓がんの経過観察でCT検査を実施。放射線科医がすい臓がんの可能性を指摘した電子カルテの報告を、担当医が確かめなかった。

女性が9月に腸閉そくの治療で同センターを受診し発覚。現在は別の病院でがんの治療を受けているという。

柏原病院では、丹波地域の50代女性が2、6月、厚生労働省指定の難病の治療でCT検査し、放射線科医が大腸の疾患を指摘していたが、担当医が報告を確認しなかった。7月に腸閉そくで救急搬送された。女性は10月に難病が原因で死亡。県によると、確認ミスとの因果関係はないという。

県病院局は「今後は報告を別の医師と二重チェックするなど再発防止に努める」としている。(斉藤正志)

出典:神戸新聞

インスリン投与で意識障害 患者死亡も「関係不明」 静岡県立がんセンター

静岡県立静岡がんセンターは29日、糖尿病の既往歴がある60代のがん患者の男性に必要以上のインスリンを投与し、意識障害に陥る医療事故があったと発表した。男性はその後、死亡。センターは「医療事故との因果関係は明らかではない」と説明している。

センターによると、男性は上顎がんで入院していた。4月に血糖値を改善するため、医師が看護師に指示してインスリンを投与。その際、電子カルテに記載した指示内容が正確に伝わらず、短時間に必要量以上を投与、男性は低血糖状態による意識障害に陥った。

医師らは当日夜に異変に気付き処置をしたが、男性は8日後に死亡した。

センターは院内調査委員会を設置して検証。4月末に「男性はがんの進行や、その他の複合的な原因で死亡した。情報伝達については病院組織としての過失だ」とする報告書をまとめた。家族に謝罪しており「同様の事故を起こさないよう再発防止に努める」とのコメントを出した。

出典:静岡がんセンター

富山大への賠償命令確定、医療ミスで女性死亡

富山医科薬科大病院(現・富山大病院)の医療ミスで長女(当時20)が敗血症で死亡したとして、両親が富山大に約1億円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は11日までに、大学の上告を退ける決定をした。約7500万円の賠償を命じた一、二審判決が確定した。7日付。

一、二審判決によると、長女は2004年9月に大腸炎のため入院し大腸全摘などの手術を受けたが、12月に感染症による敗血症で死亡した。一審・富山地裁は担当医らの過失と死亡との間の因果関係を認め、二審・名古屋高裁金沢支部も支持した。〔共同〕

出典:日本経済新聞

女子医大の特定機能病院の承認取消、通過点にすぎず

「特定機能病院の承認取消は当然。私たちが考えていたように、女子医大病院はずさんな医療を行っていたことを世の中に知ってもらいたい。これは通過点で、いったい何が行われていたのか、なぜ異常な量のプロポフォールが投与されたのかは、全く明らかになっていない。この点をどうしても解明したいが、まだ時間がかかるだろう」(男児の父親)

「命の危険がない手術でなぜ息子が死亡したのかを、明らかにしたいと思っていた。医療安全体制に重要な問題があるとされ、死亡に至った要因がようやく分かった。医療分科会では、『基本的なことができなかった』とされ、息子が亡くなってしまった。(女子医大病院を受診させたことは)非常に情けなく、息子に対して申し訳なく思っている。医療分科会で審議されたことは、ありがたく思っている」(男児の母親)

twmu(写真1)男児の両親の代理人を務める貞友義典弁護士。
厚生労働省の社会保障審議会医療分科会が4月30日、東京女子医科大学病院について、特定機能病院の「承認取消相当」という意見書をまとめたのを受け、プロポフォール投与事件で死亡した男児の両親は同省内で記者会見し、時に言葉を詰まらせながら、それぞれの思いを語った(『女子医大と群馬大、「取消相当という厳しい判断」』を参照)。会見からは、両親が求めていた承認取消が現実となったことで一つの区切りがついたという思いと、真相究明はいまだ途上という思いが交錯していることがうかがえた。

今回の承認取消は、2014年2月、頸部膿胞性リンパ管腫術後、人工呼吸中の小児には禁忌のプロポフォール投与を大量投与され、2歳10カ月の男児が死亡した事故が発端だ。その後、両親は、7月に特定機能病院の承認取消の要望書を、12月にはそれを補充する意見書をそれぞれ厚労省に提出していた。

会見に同席した代理人を務める弁護士の貞友義典氏は、事故に関係した医師をはじめ計10人を業務上過失致死容疑で訴える被害届が2014年5月に受理されていることを説明、「刑事手続きの問題について前に進むよう、警察と交渉していきたい」と語った。両親は今年2月には、麻酔科医ら5人を傷害致死罪で刑事告訴したが、不受理のままだ(『女子医大の医師ら5人、遺族が傷害致死罪で告訴』を参照)。医療分科会が特定機能病院の「承認取消相当」と判断した一番の根拠は、ガバナンスの不備であり、医薬品の安全管理体制や事故後の対応などに不備があったとした。一連の経緯を踏まえると、「いつ、誰が、なぜ」プロポフォールを大量投与したのかを明らかにすることが、両親が考える「真相究明」と言えよう。

 

 

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(写真2)男児の両親に同席した、「東京女子医大病院被害者連絡会」会長の東成志氏(左)、事務局次長の平柳利明氏(右)。
女子医大病院、承認取消は2回目
女子医大病院の特定機能病院の承認取消は2回目。初回は2001年3月に起きた、当時の同大の日本心臓血圧研究所(心研、現在は心臓病センター)の医療事故がきっかけ。本事故で、当時12歳の患者が心房中隔欠損症と肺動脈狭窄症の治療目的で手術を受けたものの、脱血不良で脳障害を来し、術後3日目に死亡した。2002年9月から、承認が取り消されていた(『院内事故調が生んだ“冤罪”、東京女子医大事件』を参照)。再承認されたのは、5年後の2007年9月だ。

女子医大病院は2014年2月の事故後、7月には日本医学会長の高久史麿氏を委員長とする、内部統制にかかる第三者評価委員会を設置、同委員会は9月に報告書を公表(『「女子医大、重大な危機にある」』を参照)。それを基に、「大学再生計画報告書」をまとめ、厚労省に提出していた(『「女性教授、2020年までに3割」、東京女子医大』を参照)。再生への取り組みの途上で、承認取消の処分に至った。

会見で、男児の父親は、「そもそも耳鼻咽喉科医による術前の説明で、術後の人工呼吸器や麻酔薬の使用などについて説明がなかった。インフォームド・コンセントが不十分だった」と述べ、結果的にプロポフォールが大量投与され、心電図や尿に異常が出たものの、適切な対応がなされなかったと改めて問題視。「誰一人として責任を持って術後の管理を行っていなかった。容体が悪化している息子を不安に思い訴えたが、主治医はICUの医師に問い合わせることも、添付文書を調べることもなく、『安全な薬である』と言い、全く訴えを取り上げなかった」などと語り、悔しさをにじませた。

今後、女子医大病院に求める対応を聞かれた父親は、「一番は患者に向き合ってもらいたい。本当にあの病院が立ち直りたいのであれば、膿を出し切って、患者のことを一番に考えれば、いい方向に進むのではないか」と述べつつ、「正直、今まで1年以上、接してきて、全く誠意がないので、立ち直ることは無理なのではないかとあきらめている」とも付け加えた。母親も、「特定機能病院でなくても、安全であることが病院の基本。なぜ基本さえできていなかったのか、息子の治療にかかわった医師、看護師、薬剤師は何をしていたのか。管理体制はどうだったのかを1点の曇りもなく明らかにして、その上で責任を取ってもらいたい」と述べ、真相究明を引き続き求めていくとした。

承認取消理由、「前回と同じ」
30日の会見には、女子医大病院で医療事故に遭遇した患者の遺族らで構成する「東京女子医大病院被害者連絡会」の会長を務める東成志氏、事務局次長の平柳利明氏も出席した。

東氏は、「医療行政として妥当な判断。医療安全体制が確保されず、チーム医療が機能していなかった上、患者家族に必要な説明を行っておらず、管理者が十分に責務を果たせなかったことを挙げている。2002年にも承認が取り消されているが、今回の理由とほぼ同じだった。2007年に再承認されているが、当時から何も改善されていなかったのではないか。再承認の際、何を審議したのか、本当に改善していたのかと疑問に思う。その後の厚労省の立入検査等も十分になされていなかったのではないか」と疑問を投げかけた。「女子医大はセンター制を取り、組織全体として機能していない。この点について厚労省と文部科学省が連携をしてメスを入れるのは有意義なことではないか」(東氏)。

2001年の事故で死亡した女児の父親である平柳氏は、「承認が取り消されて当然、と思わざるを得なかった」と語り、「(診療行為についての)カルテの未記載などがあり、今後は、保険医療機関の問題がある。厚労省保険局による調査が行われ、それなりの処分が行われるかを注視していきたい」との見方を示した。

出典:医療維新

好生館 1000万円支払い和解 手術で後遺症の男性と

県立病院好生館(現県医療センター好生館)=佐賀市=で腰椎(ようつい)椎間板(ついかんばん)ヘルニアの切除手術を受けた県警の男性警部(当時)が手術ミスで運動障害になったとして、好生館などに対し5000万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が佐賀地裁で成立した。21日付。

和解条項には、手術ミスの有無は明記されなかったが、好生館側が警部側に和解金1000万円を支払うとしている。好生館側が「手術で後遺症が残存したことに謝罪する」「医療事故の防止に真摯(しんし)に取り組む」との内容も盛り込まれた。

訴状は、警部は2007年4月に手術を受け、直後に下半身にしびれが生じ、歩行が困難になった、としている。「医師は注意を怠り神経に損傷を与えた」などとして10年10月に提訴していた。好生館は「コメントできない」としている。【岩崎邦宏】

出典:毎日新聞

佼成病院の医療ミス、重体女性が死亡 高濃度酢酸誤投与

立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)で胃がんの内視鏡検査を受けた都内に住む女性(80)が、高濃度の検査薬を誤って投与され重体となった医療事故で、同病院は14日、女性が同日午後に死亡したことを明らかにした。警視庁は業務上過失致死の疑いがあるとみて捜査している。

女性は9月22日、胃の内視鏡検査を受けた際、男性内科医(34)から通常より高濃度の酢酸を検査薬として散布されたため容体が急変。消化管が壊死(えし)し、緊急搬送された病院で緊急手術を受け入院していた。

出典:産経ニュース