遺族意見記載なしが4割 医療事故調査報告、半年で提出49件

患者の予期せぬ死亡を対象とする「医療事故調査制度」で、第三者機関の日本医療安全調査機構(東京・港)は20日、昨年10月の制度開始以降の半年間に医療機関が提出した49件の報告書の分析結果を公表した。12%に再発防止策の記載がなく、遺族の意見を書いていないケースは44%に上った。

同機構の木村壮介常務理事は「きちんと調査すれば、再発防止策は出てくるはず。制度の趣旨が医療機関側に十分浸透していない」と指摘した。

昨年10月から今年3月までに医療機関が患者の死亡原因を調査し、同機構に報告書を提出したのは49件。このうち43件はなんらかの再発防止策を示していたが、3件は「再発防止策なし」とし、残る3件は何も記載がなかった。

制度に関する厚生労働省の通知は遺族からの意見があった場合、報告書に記載することを求めているが、遺族の意見の記載があったのは15件にとどまった。意見なしと記載されていたのが10件、言及がなかったのは22件だった。

同制度では「予期せぬ死亡」について「医療に起因すると疑われる死亡で、管理者が予期しなかったもの」と規定する。

半年間の状況では、患者が死亡してから医療事故として届け出るまで平均21.9日、最長は146日かかっていた。制度の対象になるかどうか、医師が判断に迷うケースも多いとみられる。

報告書の分析結果が公表されたのは今回が初めて。厚労省は現状を踏まえ、6月24日に医療法の関係省令を改正。対象となる死亡事例の明確化や調査報告書の書式統一を進めている。

同制度は1999年の東京都立広尾病院の点滴ミス事件など重大な医療事故が相次ぎ、中立的な事故調査機関の設立を求める声が高まったことから、2014年6月の医療介護総合確保推進法の成立で導入された。病院や診療所は診療行為に関連して患者が予期せずに死亡した場合「医療事故調査・支援センター」への届け出と、院内調査の実施が義務付けられた。

今年6月までの9カ月間の同制度に基づく医療事故の届け出は285件だった。現状のペースだと年400件程度にとどまり、制度設計の段階で予想していた年1300~2000件を大幅に下回る見通しだ。

出典:日本経済新聞

医療ミス訴訟 病院側に賠償命令

愛知県豊明市の藤田保健衛生大病院で2009年、食道がんの手術を受けた同県に住む男性が、手術後の点滴で必要な栄養が不足し脳に障害が残ったとして、病院を運営する「藤田学園」(同市)に約1億6000万円の損害賠償を求めた訴訟で、名古屋地裁(朝日貴浩裁判長)は15日、約1億2000万円の支払いを命じた。朝日裁判長は判決理由で「点滴で必要な栄養が男性に投与されなかったことと、脳の後遺症には因果関係がある」と判断した。

出典:毎日新聞

【訂正】下腹部痛の診断ミスで死亡 遺族ら提訴

以下のご指摘を受けました。

河北新報社様の記事には医学的に不適切な部分がございます。
回腸子宮内膜症が直接敗血症を引き起こすことはございません。

本記事内容を訂正し、秋田魁新報紙面記事を再掲載いたします。

下腹部痛の診断ミスで死亡 遺族ら提訴

 

下腹部痛を訴えて秋田県横手市立横手病院を受診した秋田県南部の40代女性が死亡したのは医療ミスが原因だとして、女性の夫らが14日までに、市に約1億900万円の損害賠償を求める訴えを秋田地裁に起こした。
訴状によると、女性は2014年6月、下腹部痛などから消化器内科を受診し、腸閉塞(へいそく)と診断された。女性は痛みを訴えて入退院を繰り返し、月経との関連を主張したが医師は子宮内膜症の可能性を考慮しなかった。女性が同年8月に死亡した後、秋田大病院で行った病理解剖の結果、死因は回腸子宮内膜症による敗血症性ショックと判明した。
女性の夫は「子宮内膜症を念頭に置いて鑑別診断していれば妻は迅速に手術を受けられ、死亡することはなかった」と医師らの注意義務違反を主張している。
同病院は「担当者が不在でコメントできない」と話している。

出典:河北新報

「医療過誤」でまひ、中2ら提訴 地裁小倉 /福岡

脊椎(せきつい)の手術で神経を損傷したため全身まひなどが残ったとして、岡垣町の中学2年の男子生徒(13)と両親が4日、飯塚市の「総合せき損センター」を運営する独立行政法人「労働者健康安全機構」に対し介護費や慰謝料など約1億4500万円を求める訴訟を地裁小倉支部に起こした。

訴状によると、生徒には生まれつき下半身まひの障害があり、2013年ごろから手指が冷たくなるなどの症状が出たため14年3月27日、同センターで手術を受けた。

その直後から全身まひ、呼吸困難などの症状が出て、今も首から下がまひしているという。

4日、記者会見した生徒らの代理人弁護士は「当初から病院は過失を認めていたが賠償には応じてもらえず、提訴に至った」と説明。病院の担当者は「訴状を確認できていないのでコメントできない」と話した。【木村敦彦】

出典:毎日新聞

医療事故調の制度見直しで意見募集- 15日まで、厚労省

厚生労働省は、昨年秋に始まった医療事故調査制度(医療事故調)について、日本医療安全調査機構が運営する「医療事故調査・支援センター」と医師会や病院団体などの支援団体が意見交換する「協議会」の設置に向け、省令の改正案に対する意見を募集している。期間は15日まで。【敦賀陽平】

医療事故調について定めた医療法の附則では、公布後2年以内に制度の見直しを検討し、法制上の必要な措置を講ずるとしており、24日にその期限を迎える。制度の見直しに関しては与党内で協議が進み、厚労省は9日の社会保障審議会の部会で改善案を報告した。

協議会の設置は、医療事故かどうかの判断や、医療機関内での調査の方法などの標準化を図ることが狙い。各都道府県に1カ所ほどを設け、各団体の支援や調査の状況について情報共有などを行うほか、中央レベルとの連携も進める。病院などの管理者への支援がスムーズに進むよう、必要な場合は研修会を開いたり、支援団体を紹介したりする。

改正案ではまた、医療事故の死亡事例に関する院内調査を適切に行うため、医療機関の管理者に対して、調査体制を整備することを明確化している。

意見募集は原則30日以上だが、今回は7日間と期間が短い。厚労省は「限られた期間の中で多数の関係者の議論を踏まえ検討する必要があり、いかなる内容の措置を講ずるか整理を行うのに時間を要した」としている。

出典:医療介護CB NEWS

「医療ミス認めてほしい」 女児に脳障害 慶応大病院を提訴

生後3カ月の女の子が受けた心臓手術で、一体、何が起きたのか。今も、重い障害に苦しむ女の子の両親が、慶応義塾大学病院を相手に、21日、裁判を起こした。
群馬県に住む5歳の女の子、高橋心音(ここね)ちゃん。
脳に重い障害があり、歩くことも、食べることもできない。
母の亜希子さんは「抱っこをしていると、安心するんだと思うんですけど、目は、ほとんど見えていない状況」と話した。
父の歩さんは「寝たきりなので、足の骨も曲がってきて、長さも違うような状態」と話した。
心音ちゃんは、生まれつき心臓に穴が開いていたため、生後3カ月の時に、心臓手術を受けた。
2010年12月の手術直前、母親の呼びかけに、元気な声で応えていた心音ちゃん。
しかし、手術後、様子は一変した。
数週間たっても、心音ちゃんの意識は、はっきりしない状態だった。
手術から、およそ1カ月後の2011年1月、低酸素脳症と診断された。
亜希子さんは「この子はどうなっていくのかとか、もうどうしていいのか、わからなくて…」と話した。
低酸素脳症とは、脳に酸素が行き渡らなくなり、脳機能に障害が残る病状を指す。

病院から家族への説明(2011年1月22日録音)
はっきりした理由というのがわからない。おそらく、手術の時に起こったんじゃないかなと、わたし個人は思っている。

手術中に起きた可能性が高いとしつつも、はっきりとした原因はわからないと説明した病院側。
この前日、病院では、医師らによる会議が行われていた。
その議事録には、「送血カニュラの挿入位置は高めにした」と書かれていた。
この議事録は、何を意味しているのか。
昭和大学の南淵明宏教授は「脳に障害が起こる可能性は、全ての手術にあり得ます。今回の原因は何だかわからないが、『いつもより高い位置に送血管を入れたんです』と、これが原因だと思いますということを、(会議では)言っているのではないか」と話した。
南淵教授によると、議事録から推測できることは、心臓手術の際には、血管に人工心肺の管を挿入して、心臓の代わりに全身に血液を送る。
この時、管を通常より高い位置に入れたことで、脳の一部に十分な血液を送ることができなかった可能性があるという。
管を高めの位置に入れることは、手術の性質上、あり得るということだが、さらに、議事録には、「『脳モニター』は取っていたのか 取っていない」という記録も残されていた。
南淵教授は「脳のモニターを使っていなかったと(書かれている)。(脳モニターを)やっていたら、ひょっとしたら防げたんじゃないかと、(病院側が)反省されているように見えます」と話した。
病院側は、指などの血流を調べる機械を使っていたと説明しているが、脳に酸素が足りているかを調べる「脳モニター」は使っていなかった。
南淵教授によると、この「脳モニター」は、心臓手術では10年ほど前から広く使われているという。
手術から5年、心音ちゃんはずっと、音を立てながら呼吸をし、栄養は、鼻にチューブを通してとっている。
亜希子さんは「医療ミスだったんだということを、認めてもらいたい」と話した。
両親は「脳モニター」を使わなかったため、脳への血流障害に気づくことができなかった可能性があるなど、3つの注意義務違反を挙げ、慶応義塾大学病院に対し、賠償金およそ2億円を請求する訴えを起こした。
病院側は、FNNの取材に対し、「今の時点でお答えできることはありません」とコメントしている。

出典:FNN

手術中のミス患者に伝えず、千葉 2リットル大量出血

千葉県がんセンター(千葉市)で昨年12月、食道がんを患う県内の60代男性が食道摘出の手術を受けた際、医師らが機器の操作ミスで止血に手間取り、約2リットルの大量出血があったのに、患者側に伝えていなかったことが20日、関係者への取材で分かった。県には医療事故として報告していた。

関係者によると、センターは手術後、患者側に「止血に苦労した」などと伝えていた。手術後の経過は良好という。患者側は共同通信の取材に「病院からミスの話は全く聞いていない。今も治療を続けており病院を信じたい」としているが、重大な結果を招きかねないミスで、センターの説明責任が問われそうだ。

出典:西日本新聞

医療過誤で賠償、県が棄却求める 地裁・第1回弁論 /岩手

 県立二戸病院で手術を受けた県内の70代の男性が多臓器不全で死亡したのは、同病院が適切な処置を怠ったためなどとして、妻が約4183万円の損害賠償を県に求めて盛岡地裁に提訴した。県側は8日、同地裁(小川理津子裁判長)の第1回弁論で請求棄却を求めた。

 訴状によると、男性は2013年9月、同病院で食道がんの手術を受けた。執刀医から「手術は成功した」と報告されたが、術後から腹痛や発熱、全身のむくみが続き、14年2月に死亡した。妻側は、同病院が多臓器不全の原因である細菌性腹膜炎と腹腔(ふくこう)内のうようを発症させ、症状を改善させずに悪化させたとしている。

 県側は「通常『手術は成功した』と説明することはなく、『予定通りの手術になった』などの表現を用いた」と反論。妻側が主張する病院の過失などについても争う姿勢を示した。【藤井朋子】

出典:毎日新聞

群大病院また医療ミス 50代男性、右手足ほとんど動かず

群馬大病院は8日、県内の50代男性が、同病院整形外科で頸椎(けいつい)の手術を受けた後、神経障害が生じる医療事故があったと発表した。

同病院によると、男性には再手術が行われたが、現在も右手足はほとんど動かず、人工呼吸管理も必要な状態で、症状改善は1年ほど経過をみる必要があるという。

男性は変形した首の骨が神経を圧迫、筋力低下や歩行困難になる頚髄症で、昨年11月、同病院で金属製の棒状器具を使い骨を固定する手術を受けたが、その場所がずれて脊髄の神経を圧迫、神経障害が生じた。

同病院は今年3月、外部委員2人の協力で事故調査委員会を実施。手術では、X線の透視以外にもモニタリングの機能を使って観察すべきだったことや、体形など患者個別のリスクにかかる部分の説明が不十分だったことなどを挙げた。

田村遵一病院長は「新たな医療事故が起こり、非常に申し訳ない。患者や家族に対し、誠実に対応していきたい」と謝罪した。

出典:産経ニュース

16年6月に報告された医療事故は34件、累計で285件

今年(2016年)6月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は34件で、制度発足(2015年10月)から累計で285件の医療事故が報告された。また、院内調査が済んだものは累計で92件、センターへの調査依頼は同じく4件となった―。

こうした状況を、日本で唯一のセンターとして指定されている日本医療安全調査機構が8日に公表しました(関連記事はこちら)(機構のサイトはこちら)。

285件の医療事故のうち32%で院内調査が完了、センターへの調査依頼は4件

医療事故調査制度は、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてをセンターに報告し、当該医療機関やセンターで再発防止策を探る仕組みです(関連記事はこちら)。

昨年(2015年)10月からスタートしており、日本医療安全調査機構は、医療事故の報告状況などを毎月公表しています。

それによると、今年(2016年)6月には、医療事故が34件報告され、制度発足からの累計報告数は285件となりました。

今年6月の報告はすべて病院からで、▽消化器科6件▽内科5件▽外科4件▽循環器科4件―などという状況です。

2016年6月に34件の医療事故が報告され、累計で285件となった
2016年6月に34件の医療事故が報告され、累計で285件となった

また医療機関からセンターへの相談は、今年6月には131件寄せられ、制度発足からの累計では1381件となっています。相談内容は、「院内調査」に関するものが50件でもっとも多く、次いで「医療事故に該当するか否かの判断」と「医療事故報告に関する手続き」がそれぞれ27件となっています(複数回答)。

医療事故調査・支援センターへの相談は2016年6月に131件寄せられ、うち50件は院内調査に関するものであった
医療事故調査・支援センターへの相談は2016年6月に131件寄せられ、うち50件は院内調査に関するものであった

 報告対象となる医療事故かどうかは、前述のように「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」か否かで判断しますが、ケースによっては判断が難しいことがあります。

そのため医師会や病院団体、学会などが調査のみならず判断においても「支援」を行うことになっていますが、この支援内容にはバラつきがあることが課題となっています。そこで厚生労働省は6月24日に関係法令(医療法施行規則など)の改正を行い、支援団体(医師会や病院団体など)とセンターが意見交換を行う場(支援団体連絡協議会)を設置して、バラつきの解消を行うこととされています(関連記事はこちらとこちら)。

 

医療事故が発生した医療機関では、まず院内での調査を実施します。今年6月に新たに院内調査が済んだのは14件で、制度発足からの累計で92件となりました。報告された285件の32%で院内調査が済んでいる状況です。

2016年6月に新たに院内調査が14件完了し、92件となった
2016年6月に新たに院内調査が14件完了し、92件となった

 また、医療機関あるいは遺族からセンターへの調査依頼は今年6月には2件(医療機関から1件、遺族から1件)あり、制度発足からの累計で4件となりました。医療機関からの調査依頼は初めてのことです。

出典:メディ・ウォッチ