手術中のミス患者に伝えず、千葉 2リットル大量出血

千葉県がんセンター(千葉市)で昨年12月、食道がんを患う県内の60代男性が食道摘出の手術を受けた際、医師らが機器の操作ミスで止血に手間取り、約2リットルの大量出血があったのに、患者側に伝えていなかったことが20日、関係者への取材で分かった。県には医療事故として報告していた。

関係者によると、センターは手術後、患者側に「止血に苦労した」などと伝えていた。手術後の経過は良好という。患者側は共同通信の取材に「病院からミスの話は全く聞いていない。今も治療を続けており病院を信じたい」としているが、重大な結果を招きかねないミスで、センターの説明責任が問われそうだ。

出典:西日本新聞

医療過誤で賠償、県が棄却求める 地裁・第1回弁論 /岩手

 県立二戸病院で手術を受けた県内の70代の男性が多臓器不全で死亡したのは、同病院が適切な処置を怠ったためなどとして、妻が約4183万円の損害賠償を県に求めて盛岡地裁に提訴した。県側は8日、同地裁(小川理津子裁判長)の第1回弁論で請求棄却を求めた。

 訴状によると、男性は2013年9月、同病院で食道がんの手術を受けた。執刀医から「手術は成功した」と報告されたが、術後から腹痛や発熱、全身のむくみが続き、14年2月に死亡した。妻側は、同病院が多臓器不全の原因である細菌性腹膜炎と腹腔(ふくこう)内のうようを発症させ、症状を改善させずに悪化させたとしている。

 県側は「通常『手術は成功した』と説明することはなく、『予定通りの手術になった』などの表現を用いた」と反論。妻側が主張する病院の過失などについても争う姿勢を示した。【藤井朋子】

出典:毎日新聞

群大病院また医療ミス 50代男性、右手足ほとんど動かず

群馬大病院は8日、県内の50代男性が、同病院整形外科で頸椎(けいつい)の手術を受けた後、神経障害が生じる医療事故があったと発表した。

同病院によると、男性には再手術が行われたが、現在も右手足はほとんど動かず、人工呼吸管理も必要な状態で、症状改善は1年ほど経過をみる必要があるという。

男性は変形した首の骨が神経を圧迫、筋力低下や歩行困難になる頚髄症で、昨年11月、同病院で金属製の棒状器具を使い骨を固定する手術を受けたが、その場所がずれて脊髄の神経を圧迫、神経障害が生じた。

同病院は今年3月、外部委員2人の協力で事故調査委員会を実施。手術では、X線の透視以外にもモニタリングの機能を使って観察すべきだったことや、体形など患者個別のリスクにかかる部分の説明が不十分だったことなどを挙げた。

田村遵一病院長は「新たな医療事故が起こり、非常に申し訳ない。患者や家族に対し、誠実に対応していきたい」と謝罪した。

出典:産経ニュース

16年6月に報告された医療事故は34件、累計で285件

今年(2016年)6月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は34件で、制度発足(2015年10月)から累計で285件の医療事故が報告された。また、院内調査が済んだものは累計で92件、センターへの調査依頼は同じく4件となった―。

こうした状況を、日本で唯一のセンターとして指定されている日本医療安全調査機構が8日に公表しました(関連記事はこちら)(機構のサイトはこちら)。

285件の医療事故のうち32%で院内調査が完了、センターへの調査依頼は4件

医療事故調査制度は、「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」すべてをセンターに報告し、当該医療機関やセンターで再発防止策を探る仕組みです(関連記事はこちら)。

昨年(2015年)10月からスタートしており、日本医療安全調査機構は、医療事故の報告状況などを毎月公表しています。

それによると、今年(2016年)6月には、医療事故が34件報告され、制度発足からの累計報告数は285件となりました。

今年6月の報告はすべて病院からで、▽消化器科6件▽内科5件▽外科4件▽循環器科4件―などという状況です。

2016年6月に34件の医療事故が報告され、累計で285件となった
2016年6月に34件の医療事故が報告され、累計で285件となった

また医療機関からセンターへの相談は、今年6月には131件寄せられ、制度発足からの累計では1381件となっています。相談内容は、「院内調査」に関するものが50件でもっとも多く、次いで「医療事故に該当するか否かの判断」と「医療事故報告に関する手続き」がそれぞれ27件となっています(複数回答)。

医療事故調査・支援センターへの相談は2016年6月に131件寄せられ、うち50件は院内調査に関するものであった
医療事故調査・支援センターへの相談は2016年6月に131件寄せられ、うち50件は院内調査に関するものであった

 報告対象となる医療事故かどうかは、前述のように「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産」のうち「管理者が予期しなかったもの」か否かで判断しますが、ケースによっては判断が難しいことがあります。

そのため医師会や病院団体、学会などが調査のみならず判断においても「支援」を行うことになっていますが、この支援内容にはバラつきがあることが課題となっています。そこで厚生労働省は6月24日に関係法令(医療法施行規則など)の改正を行い、支援団体(医師会や病院団体など)とセンターが意見交換を行う場(支援団体連絡協議会)を設置して、バラつきの解消を行うこととされています(関連記事はこちらこちら)。

 

医療事故が発生した医療機関では、まず院内での調査を実施します。今年6月に新たに院内調査が済んだのは14件で、制度発足からの累計で92件となりました。報告された285件の32%で院内調査が済んでいる状況です。

2016年6月に新たに院内調査が14件完了し、92件となった
2016年6月に新たに院内調査が14件完了し、92件となった

 また、医療機関あるいは遺族からセンターへの調査依頼は今年6月には2件(医療機関から1件、遺族から1件)あり、制度発足からの累計で4件となりました。医療機関からの調査依頼は初めてのことです。

出典:メディ・ウォッチ

抗がん剤医療事故 6年3カ月間で228件 死亡例20件

 国内で起きた医療事故情報を収集する公益財団法人・日本医療機能評価機構(東京都)は28日、抗がん剤に関する事故が6年3カ月間で228件に上ったとの調査結果を公表した。平均すると1カ月に3件程度になる。患者の死亡例は20件、障害の残る可能性の高い例は26件で、全体の2割が重大な事故だった。抗がん剤はがんの有効な治療法だが、使い方を誤った時のリスクは高く、同機構は医療関係者らは注意を呼びかけている。

 調査は2010年から現在の方法で統計を取り始め、今年3月までの6年3カ月間の結果をまとめた。

 最も多かったのは「血管外への漏れ」(68件)で、副作用など患者の容体悪化53件▽過剰投与34件▽投与日・日数間違い11件▽薬の種類の間違い10件▽患者の間違い6件−−などと続く。

 半数以上の128件は看護師などの投与に伴うミスだったが、医師の処方の誤りも41件あった。個別のケースでは、薬剤師が暗算したことによる薬の濃度の間違いや、治療計画作成時の薬剤師の数値入力ミスなどが起きていた。【野田武】

出典:毎日新聞

群馬大附属病院 手術後死亡の13人に治療上の問題

群馬大学附属病院で、肝臓やすい臓の手術を受けたあと、退院できないまま死亡するなどした患者50人を調べたところ、少なくとも13人に治療上の問題が見つかり、死亡原因になった可能性があるとする内容の報告書を、日本外科学会がまとめました。専門家は「医療過誤ではないのか、病院は詳しく調べて遺族にきちんと説明する責任がある」と話しています。
この報告書は、群馬大学附属病院で腹くう鏡の手術を受けた患者8人が相次いで死亡し、大きな問題になったことを受け、日本外科学会が大学の調査委員会の依頼を受けてまとめたものです。
学会では、腹くう鏡のケースも含め、去年3月までの8年間に病院の2つの外科で肝臓がんやすい臓がんなどの手術を受け、退院できないまま死亡したり、術後30日以内に死亡したりした患者50人について詳しく調べました。その結果、少なくとも13人について、治療上の問題があり、死亡原因になった可能性があるとする内容の報告書をまとめました。

このうち、肝臓がんの60代の男性のケースでは、手術中に大量出血したほか、手術直後から出血が起きていたのに、血を止めるための再手術の判断が遅れたと考えられると指摘しています。男性の死因は大量出血による肝不全でしたが、最初の手術中、何らかのトラブルがあって大量出血が起きたと思われるものの、手術記録には記載がなく、検証もできなかったとしています。

また、すい臓がんの50代の女性のケースでは、がんが広がりすぎてリスクが極めて高いと考えられたのに手術が行われ、多臓器不全を起こして死亡したと指摘したうえで、手術時間が28時間を超え、出血量も17リットル以上という明らかに異常な事態であったにもかかわらず、何が起きたのか詳しい記録は残っていなかったとしています。

さらに、70代の女性のケースでは、手術後の対応が不十分なまま退院させた可能性があり、容体が悪化して救急外来を訪れたときも、入院が必要と考えられたのに、治療後帰宅させていると指摘しています。女性は翌朝、意識不明のまま救急搬送されましたが、およそ1時間後に死亡していて、こうした対応が死亡につながったとみられるとしました。

一方、今回問題が指摘された13人の患者以外にも、詳しい記録がないなどのために、問題があるかどうか分からなかったケースも複数あったということです。

群馬大学附属病院には、医療安全上の課題があるとみられるケースが起きた場合に、医師らが報告し改善策を検討するシステムがありますが、13例のうち報告が行われたのは2例でした。病院による詳しい事故調査が行われたのは1例だけで、今回学会がまとめた死亡までの詳しい経過について、遺族はいまだに知らないままです。

東京医科歯科大学の名誉教授で、肝臓やすい臓の手術に詳しい有井滋樹浜松労災病院院長は「出血量が標準に比べ非常に多いとか、手術時間が非常に長いというケースがあるだけでなく、手術後の対応も問題視されうるようなケースもある。医療過誤ではないのか、病院は詳しく調べて遺族にきちんと説明する責任があると思う」と話しています。
遺族「真実を知りたい」
埼玉県内に住む会社員の男性の父親は、7年前、65歳だったときに群馬大学附属病院で肝臓がんの手術を受けました。
手術前には、3週間ほどで退院できると言われていましたが、術後、容体が悪化。退院できないまま、手術後45日で亡くなりました。
今回の報告書の中で、父親は抗生物質が効きにくいMRSAという細菌に感染したことなどが死亡につながったとみられるとされ、不適切な抗菌薬の使用があったと指摘されていましたが、病院からまだ説明はありません。
男性は「孫の成長を見たいので、健康な体になって少しでも長生きしようということもあって、受けた手術でした。遺族の思いは、ほかの人にしてほしくない。こうなった経緯も含めて、本当の真実を知りたい」と話していました。
群馬大附属病院「報告書受け取りしだい説明したい」
群馬大学附属病院は「大学の調査委員会も調査を進めており、その報告書を受け取りしだい、日本外科学会の調査についても、それぞれの遺族にきちんと説明したい」とコメントしています。

出典:NHK NEWS WEB

医療事故調査制度の発展を 被害者の会10周年シンポ

医療事故の被害者らでつくる「医療の良心を守る市民の会」が26日、発足10年を記念するシンポジウムを東京都内で開き、参加者からは昨年10月スタートの医療事故調査制度に関し「現場の管理者だけでなく医師会や地域の大学、患者が連携して制度を発展させる必要がある」と意見が出た。

医療従事者や弁護士ら約100人が参加した。厚生労働省医療安全推進室の平子哲夫室長は、調査制度の対象となる「診療に関連した予期せぬ死亡事案」について「現場で第三者機関への届け出対象とするか判断に迷う事案もある」と説明した。

医療機関ごとに判断にばらつきが出る状況を防ぐため中央と地方に連絡協議会を設置するよう省令改正したことを受け「研修などを通じて考え方が共有されていくのではないか」と述べた。

出典:産経ニュース

世界初「スマート治療室」 ネットで医療ミス防止へ

様々な医療機器をインターネットでつなぐ世界初のスマート治療室が公開されました。オールジャパンの技術を結集して医療ミスを防ぎます。

東京女子医科大学などが導入するスマート手術室は、電気メスやX線、麻酔器などの医療機器をインターネットでつないで連携させることで、医療事故の25%程度を占める医療機器の設定でのミスを防ぎます。また、日本が強みを持つ産業用ロボットなどの最先端の技術を活用し、手術に関わるスタッフの負担を減らします。日立製作所など13社と5つの大学が連携し、数年後には海外にも売り込む計画です。

出典:テレビ朝日

順天堂医院に立ち入り検査 点滴中断後「容体悪化」 医療ミスか

天皇陛下の執刀医が院長を務める病院に、東京都の立ち入り検査が入った。
ベッドで横になり、娘の呼びかけにうなずく、74歳の女性。
順天堂医院の心臓血管外科で治療を受け、現在は、寝たきりの状態だという。
2015年4月、心筋症による心機能の低下と、血液が逆流する弁膜症と診断され、順天堂医院に入院した。
ところが、手術に向けて体調を整えていた、2015年6月17日、突然、容体が悪化。
女性の家族は、「心臓が悪化して、もう本当に、顔をゆがめて苦しそうにしていて、救命をなんとかしようとしているところに、わたしが見に到着して」と話した。
女性の家族は、1週間後に主治医と交わしたやり取りを録音していた。

親族「医療ミスがあったということですね?」
主治医「医療ミスって…、まあ、そうですね」

医療ミスがあったと話す主治医。
どんなミスだったのか。
主治医は、「ドブタミンに行けなかった時間帯があるということは、事実として出てくる」と話していた。
ドブタミンとは、強心剤の一種。
一定期間、絶え間なく点滴で投与する必要があるが、家族によると、容体急変の際、ドブタミンはなくなり、点滴をする機械の電源も切れていたという。
なぜ、投与は止まったのか。
主治医は、「彼女(看護師)は、もう(薬剤を)作成しなければいけないこともわかっていました。でも、自分が(薬剤を)作って戻ってくるまでの間に、(点滴の機械の)アラームがまた鳴ってしまうということを考えて、アラームを消したと」と語った。
家族によると、看護師が、薬剤作りを優先して、点滴の機械の電源をオフに。
そのため、40分前後、投与が止まったという。
4カ月後、順天堂医院は、「入院中に点滴が一時中断していたことから、患者様ご自身へのご負担、ならびにご家族にご心労をおかけしたことについては、誠に申し訳ございませんでした。心臓血管外科 科長 天野 篤」と、女性に文書でおわびした。
女性が寝たきりとなったのは、点滴の中断と関係があるのか。
家族によると、主治医は、女性の心臓がもともと弱かったことを理由に、点滴中断と、病状悪化の因果関係を否定するような説明をしていた。
主治医は、「もうやっぱり、心臓が、心臓自体が、ちょっとずつ、ちょっとずつ弱まっていくと。もともと、そういう病気なのでね」と話していた。
9日、会見に臨んだ家族は、順天堂医院を相手取った訴訟も検討しているという。
女性の家族は、「医療ミスを認めて、天野先生とか、担当の看護師さんに謝罪していただきたいって思います。本当に、母の心臓を返してほしい」と語った。
治療行為に、問題はなかったのか。
順天堂医院は、「現段階としては、患者さまの個人情報もあるので、お答えすることはありません」とコメントしている。
東京都は9日、順天堂医院への立ち入り検査を実施。
今回の医療行為について、くわしく調べる方針。

このニュースに関しては、事実や因果関係について、まだまだ、わからない点がある。
東京都の立ち入り検査、そして、家族が検討しているという裁判の場で、そういったことが明らかになるのか、注目される。

出典:FNN NEWS

医療事故調制度 届け出対象基準統一で連絡協設置の省令

医療死亡事故の届け出を全医療機関に義務付けた医療事故調査制度の見直しで、厚生労働省は24日、届け出対象の基準統一を目指して、関係団体による連絡協議会を設置する省令を定めた。

医療機関が判断に迷った事例について、各都道府県の協議会が意見を述べる。都道府県レベルでの判断が難しい場合は、国レベルの協議会に委ねる。事例の積み重ねを通じて、認識の共有化を図るという。統一基準のリストを作るかどうかは決まっていない。

また、遺族が医療死亡事故について自ら届け出ができないことの改善策として、厚労省は同日、病院が医療事故に該当しないと判断した場合は、遺族に理由を説明するよう、都道府県を通じて医療機関に通知した。

昨年10月に始まった同制度の届け出は、年1300〜2000件を想定していたが、今年5月末までの8カ月間で251件にとどまっている。【熊谷豪】

出典:毎日新聞