医療事故認め2033万円 女性患者遺族に賠償へ /岐阜

岐阜市民病院(岐阜市鹿島町)で昨年12月、副腎皮質ホルモンを大量に投与する「ステロイドパルス療法」を受けていた市内に住む70代の女性患者が合併症で死亡していたことが30日、分かった。同療法の副作用の一つに血糖値の上昇があるが、同日記者会見した冨田栄一院長は「血糖コントロールが不適切だった」と医療ミスを認める一方、損害賠償金として2033万円を支払うことで遺族側と和解したことを明らかにした。

9月2日開会の市議会に、賠償金を計上した補正予算案を提出する。

病院側によると、女性患者は2015年11月下旬、意識障害のため緊急入院。同12月1日からステロイドパルス療法を始めた。内科の男性主治医は女性患者が糖尿病だったことを把握していたが、1回目の治療を終えた段階で、意識障害に改善傾向が認められたため、その後、血糖値の測定をしないまま治療を続行。ところが2回目の治療を終えた翌日の12月11日、容体が急変し、血糖値が高くなる高浸透圧高血糖症候群を合併して死亡した。【石塚誠】

出典:毎日新聞

千葉県がんC患者6千人減 医療ミス尾を引く 2年連続赤字

医療ミスが相次いだ千葉県がんセンター(千葉市中央区)で2015年度、延べの外来患者数が前年度比約7800人減、入院患者数も同約6400人減ったことが県病院局の集計で分かった。前年度も腹腔(ふくくう)鏡下手術による患者死亡問題で患者減だったが、落ち込み幅は拡大。本年度も7月までの4カ月間で3千人規模の減少が続き、歯止めがかかっていない。

15年度のがんセンターの外来患者数は前年度比5・5%減の約13万4千人、入院患者数は6・6%減の約9万1千人。手術数も12・8%(587件)減の4014件にとどまった。

前年度の落ち込み幅(外来患者1・5%減、入院患者4%減、手術数2・7%減)と比べても悪化した。

この結果、15年度のがんセンターの収益(収入)は、前年度比9億8千万円減の129億6千万円。収入から費用を差し引いた純利益は5億2千万円減の1億2千万円となった。

がんセンターは県立6病院の中で最多の収益があり、純利益も県病院事業全体の柱。しかし、低迷した結果、医師不足で患者数も減っている県立佐原病院の赤字(純損失)分をカバーできず、15年度の同事業会計の決算は2年連続の赤字(純損失約16億円)となる。

がんセンターでは、昨年12月以降、乳房の誤摘出やガーゼの体内置き忘れが相次ぎ発覚。本年度の4~7月も対前年同期比で、外来、入院患者ともに約3千人の減少が続いている。

県病院局は今年8月、同センターを含む県立病院の医療安全体制改善を図る外部監査組織を設置。「県民からの信頼を回復する取り組みを進め、患者数の回復を目指す」とした。

15年度のがんセンター以外の5病院の延べ外来患者は、こども病院が約1800人増、救急医療センターが約400人増。一方、佐原病院は約7400人減、精神科医療センター約2700人減、循環器病センター約600人減だった。

単体赤字は佐原病院(約7億2千万円)と循環器病センター(約3千万円)。

出典:千葉日報

彦根市立病院で 院内に調査委、ミスは否定

彦根市立病院(彦根市八坂町、金子隆昭院長)は8日、入院患者1人が今月3日、医療事故で亡くなったと発表した。一般的には死亡確率が1%未満の手術で2日後に死亡したという。同病院は医療事故調査制度に基づき、7日に第三者機関の「医療事故調査・支援センター」(東京都港区)に報告。院内に医療事故調査委員会を設置し、センターの支援も受けて調査する。

病院によると、患者は手術のため最近入院。1日に行われた手術中、急激に血圧が低下し、急きょ集中治療室(ICU)に移し治療したが3日に死亡した。

プライバシーを理由に患者の年齢・性別や病名などは明らかにしないが、同病院では年間10〜15件実施している手術で、死亡確率は低くこれまでに事故がなかったとしている。患者や家族にも死亡リスクを説明していなかった。しかし、患者が手術を契機に死亡したことが明らかなため、5日に院内事故対策委員会を開いて医療事故と判断したという。

記者会見した金子院長は「調査結果を待たなければならないが、一人の方が亡くなったのは事実。真摯(しんし)に受け止め、再発しないよう院内で検討していきたい」と話している。一方で「医療ミスではなかった」とし、担当医には現在も勤務を続けさせているという。

医療事故調査制度は昨年10月にスタート。医療機関は「予期せぬ死亡」があった場合、厚生労働省が指定した医療事故調査・支援センターに報告し、院内調査への支援やセンターによる調査を受け、原因を究明して再発を防ぐ。【西村浩一】

出典:毎日新聞

情報共有不十分で肺がん患者死亡 名大病院謝罪

名古屋大病院(名古屋市昭和区)は13日、コンピューター断層撮影(CT)で肺がんの兆候が見られたのに、医師間で情報が共有されなかったため、見過ごされ、名古屋市の50代の男性患者が2年後に死亡する医療ミスがあったと発表した。

記者会見した石黒直樹病院長は「情報共有が不十分となった結果、重大な医療事故となった。患者さんとご遺族に深くおわびする」と謝罪した。

同病院によると、男性は2014年6月、高熱のため救急外来を受診。前立腺炎と診断され、2週間で症状が改善し受診を終えた。この際、CT検査を担当した放射線科医2人は「右肺に陰影があり、肺腫瘍の可能性がある」との画像診断報告書を作成していたが、救急外来や泌尿器科の医師は報告書を確認せず、男性にも伝わっていなかった。

男性は今年3月にせきが続いたため、同病院で再受診し、肺がんと診断された。「ステージ4」の状態で、7月に死亡した。

同病院は、情報の共有を徹底するため、15年6月から画像診断報告書の一元管理システムを導入。診療科の医師が報告書を読んでいない場合に電子カルテの画面上に未読通知を表示するようにしている。【梶原遊】

出典:毎日新聞

医療ミスで脳の血管刺し、くも膜下出血 横浜市立市民病院

横浜市立市民病院は2日、2月に50代女性患者の脳動脈瘤(りゅう)の手術をした際、血管を傷つける医療ミスがあったと発表した。女性は2週間後にくも膜下出血を発症。現在、呼び掛けに目を開く以外の反応はなく、回復は見込めない状態となっている。

病院が設置した外部有識者による調査委員会は、血管の損傷がくも膜下出血の原因になった可能性が高いとする報告書をまとめており、記者会見した石原淳院長は「患者や家族に深くおわびしたい」と謝罪した。

病院によると、主治医の50代の男性医師が2月16日、未破裂の動脈瘤を取り去る手術をした際、5ミリ離れた血管をはさみで刺した。すぐに止血処置をして経過観察したが、女性は3月1日にくも膜下出血を起こした。

男性医師は過去9年間で同様の手術を78件経験。過去に執刀した際の記録映像を外部の医師が確認したが、問題はなかった。〔共同〕

出典:毎日新聞

点滴ミス、患者が死亡 薬過剰投与 長崎川棚医療センター

国立病院機構長崎川棚医療センター(川棚町)は23日、入院患者に医師が指示した量の10倍のインスリンを投与する医療事故が起きたと発表した。患者はその後死亡した。同センターは「過剰投与が死因に関連した可能性がある」として遺族に謝罪するとともに、原因を調べている。

センターによると、患者は糖尿病などの持病があった80代女性。先月30日深夜、看護師が点滴用の液にインスリンを混ぜる際、指示では0・1ミリリットルだったインスリンを誤って1ミリリットル入れた。専用の注射器を使わずに測り、誤ったという。決められた複数人でのチェックも怠っていた。患者は点滴の開始から約8時間半後に死亡した。

今月2日、この看護師が別の患者用に点滴液を準備する際、専用注射器を使っていないことに同僚が気づきミスが発覚した。看護師は一連の処置が未経験で、処置方法を知らなかった。調査に「初めてということを知られたくなく、相談もできなかった」などと話したという。本来は8時間に1回の血糖値測定も実施せず、虚偽の数値をカルテに書き込んでいたことも分かった。

県庁で記者会見した宮下光世院長は「看護師の行為は大変遺憾で、亡くなった患者と家族におわびしたい」と話した。事故は医療事故調査・支援センターに報告し、検証するほか、川棚署にも相談しているという。【小畑英介】

〔長崎版〕

出典:毎日新聞

医療事故調査制度で過失認定 病院反発、遺族が提訴

胸腔(きょうくう)鏡手術のミスで女性が死亡したとして、愛知県東浦町の遺族が八月、刈谷豊田総合病院(同県刈谷市)側に六千五百万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。十月で開始一年を迎える国の医療事故調査制度のモデル事業を活用、さまざまな医療ミスが認定されたが、賠償額などで病院側と隔たりが生じ、遺族側が提訴に踏み切った。専門家は「病院側が調査結果に真摯(しんし)に向き合わないと遺族の理解を得られず、制度の利用も進まない」と警鐘を鳴らす。
訴状によると、亡くなった稲垣絹江さん=当時(75)=は二〇一三年十一月、トヨタグループや刈谷市などが運営する同病院で胸の腫瘍を摘出する胸腔鏡手術を受けた。担当医が誤って大静脈を傷つけ、輸血措置も不十分だったため、大量出血による脳症や多臓器不全で半月後に死亡した。
原告代理人弁護士によると、夫の寛治さん(81)ら遺族は、厚生労働省が昨年十月にスタートさせた医療事故調査制度の前身に当たるモデル事業を利用。厚労省が指定する第三者機関の日本医療安全調査機構(東京)と病院側が共同で調査し、手術ミスから事前の検査・説明不足まで幅広く認める結果が出た。
病院側は調査終了後の昨年二月、寛治さんらへの賠償について「顧問弁護士や保険会社と相談したところ、百万円にも満たないと言われた」と説明。病院独自の判断として口頭で五百万円を提示したが、その後の交渉では法的過失を一切認めなかったという。
刈谷豊田総合病院と代理人弁護士は取材に「現時点で話せることはない」とコメントしている。
<医療事故調査制度> 医療事故への社会的関心が高まる中、医療法に基づき全国約18万の医療機関全てを対象に昨年10月に始まった。診療中の予期せぬ死亡事故について、日本医療安全調査機構への報告や院内調査などが義務付けられている。モデル事業は、制度開始の前段階として2005年から昨年まで東京や愛知など12都道府県で実施。病院側が主体となる調査手法や遺族への結果説明など共通点が多い。

出典:東京新聞

大口病院4階で48人死亡 今年7~9月に 1日に5人も

横浜市神奈川区の「大口病院」で点滴を受けた男性入院患者2人が中毒死した連続殺人事件で、2人が入院していた同病院4階で今年7月から9月にかけて48人が死亡していたことが28日、捜査関係者などへの取材で分かった。神奈川県警神奈川署捜査本部は、これらのケースについても死亡の状況などに不審な点がないか慎重に捜査を進める。

捜査関係者などによると、4階では7月1日から9月20日までに48人が死亡。8月下旬には同じ日に5人が死亡し、9月初旬には4人が亡くなった日もあった。

4階は自分で食事ができないなど重症の患者が入院するといい、同院の高橋洋一院長は「医療法の改定で重篤な方を受け入れたことと関係していると思ったが、確かに『多いかな』という印象だったので院内感染を疑った」としている。

出典:産経ニュース

大口病院殺人 消毒液が点滴に混入か ゴム栓部分から注入?

横浜市神奈川区の大口病院で点滴に異物が混入され、入院患者の八巻(やまき)信雄さん(88)が中毒死した事件で、中毒の原因となった界面活性剤は消毒液に使われる成分だったことが、捜査関係者への取材で分かった。また、点滴袋には目立った穴や破れが見当たらないことから、神奈川県警は、注射器を使って点滴袋とチューブをつなぐゴム栓部分から注入された疑いもあるとみて調べている。
県警によると、八巻さんが入院していた四階のナースステーションに、消毒液と注射針が保管されていた。界面活性剤は洗剤や化粧品など広く用いられているが、点滴袋に混入されたのは、消毒液に含まれている種類だった。高濃度で血管に入ると中毒を起こし、死に至ることもあるが、薬局でも購入できる。
県警によると、ゴム栓は、点滴袋と一体となっており、通常は外せないようになっている。また、針で刺してもゴムが収縮して、痕跡は目立たないとみられるという。八巻さんの点滴袋に明らかな穴や破れはなく、県警は、点滴袋を解析して、詳しい混入方法を調べる。
二十日午前、担当の看護師が、八巻さんの死亡後、点滴袋内にわずかな気泡を見つけ、異常が分かった。八巻さんは十四日に入院し、寝たきり状態で、投与されていた点滴は栄養剤だった。点滴は十七日からステーション内に保管されており、十九日午後十時ごろに交換されていた。
病院の四階では十八日に点滴を受けていた八十代の男性二人が、二十日には九十代の女性が死亡。この男女三人は病死と診断されたが、県警は三人についても司法解剖して詳しい死因を調べている。一方、大口病院は十月一日まで休診する。
◆「不審者チェックに限界」 医療関係者らに戸惑い
大口病院で点滴に異物が混入され患者が死亡した事件を受け、医療関係者らの間に戸惑いが広がっている。神奈川県警は何者かによる意図的な混入とみているが、医療機関は人の出入りが多く、悪意ある人物の行為を防ぐのは極めて難しいためだ。
「薬品取り違えなど医療ミスへの対策はできても、故意による混入は防ぎきれない」。中部地方の病院に勤める三十代の女性看護師は打ち明ける。
一九九九年の横浜市立大病院の手術患者取り違え事件など、九〇年代後半以降に重大な医療過誤が相次いで明らかになり、社会問題化。ミスをなくそうと、ヒヤリ・ハット事例の共有など医療界挙げての取り組みが進められてきた。
しかし、今回の事件は洗剤などの成分である界面活性剤が点滴に混入されており、ミスが原因とは考えにくい。
食い止める方法はないのか。医療ガバナンス研究所(東京)の上昌広理事長は「医療機関は、夜間でも患者の家族など人の出入りがあり、不審者のチェックには限界がある。内部の人間の仕業だった場合はなおさら難しい」と指摘する。
費用面も課題だ。多くの医療機関は経営が厳しい中、ぎりぎりの人数で夜勤を回し、増員は簡単ではない。上理事長は「故意犯を防ぐためにどれだけコストをかけられるのか。医療安全の在り方が問われる事件だ」と話す。
監視カメラによるチェックはどうか。勤務医らの団体「全国医師連盟」の中島恒夫代表理事は「多くのカメラが設置されれば患者のプライバシーを侵害する恐れが高まる」と慎重だ。
職員に悪影響を与える可能性にも言及。「医療現場はスタッフ同士の信頼関係で成り立っている。ぎすぎすした雰囲気になれば、診療に影響も出かねない」と懸念を示した。

出典:東京新聞

手術ミスで大量出血2L、患者に伝えず 千葉県がんセンター

千葉県がんセンター(千葉市中央区)で昨年12月、食道がんを患う県内の60代男性が食道摘出の手術を受けた際、医師らが機器の操作ミスで止血に手間取り、約2リットルの大量出血があったのに、患者側に伝えていなかったことが20日、関係者への取材で分かった。県には医療事故として報告していた。

関係者によると、センターは手術後、患者側に「止血に苦労した」などと伝えていた。手術後の経過は良好という。患者側は共同通信の取材に「病院からミスの話は全く聞いていない。今も治療を続けており病院を信じたい」としているが、重大な結果を招きかねないミスで、センターの説明責任が問われそうだ。

センターの安全管理指針では、医療事故が発生した場合の対応として「過失の有無にかかわらず、患者や家族への誠実な対応が第一」として、速やかに患者や家族に状況を説明するとしている。取材にセンターは機器の操作ミスを認め「ミスと止血との因果関係はないと判断したため、患者側に伝えなかったが、確認したい」としている。

執刀を担当した医師らは、手術の途中で出血があり止血用の機器を使ったが、本来は「凝固」にしなければならない設定を「電気メス」モードにしてしまい、約2時間後に気付くまで出血を止められない状態が続いた。

センターは再発防止策を内部で議論。手術時に使った機器は「利用頻度が低かった」とした上で、医師や看護師らが使用方法を再確認した。

センターでは2014年、腹腔(ふくくう)鏡手術を受けた11人がその後死亡した問題が発覚。昨年12月にも検体を取り違え、女性患者の右乳房を誤って全摘出した事故が判明するなど、医療を巡る問題や事故が相次いでいる。

出典:千葉日報