豊橋市民病院 医療ミスで914万円支払いへ

愛知県の豊橋市民病院は27日、狭心症の男性患者(当時65歳)を2011年12月に手術した際に、医療器具の一部であるワイヤ(直径0.36ミリ)を誤って切断し、先端約5センチを冠動脈内に残すミスを犯し、男性が転院先で4日後に急性心筋梗塞(こうそく)のため死亡したと発表した。病院は、ミスが死亡につながった可能性があるとして、遺族2人に損害賠償金計約914万円を支払うことで合意したという。

病院によると、患者は豊橋市内の無職男性。手術は、冠動脈内の病巣まで医療用ドリルをワイヤで運び、病巣を切削するもの。事前にワイヤを抜かずドリルを操作し、ワイヤを切ってしまった。別の病院に回収手術を依頼し、男性を転院させたが、手術できないまま死亡した。

遺族2人が17年7月、名古屋簡裁に調停を申し立て、双方の代理人が協議していた。

病院の黒釜直樹事務局長は「二度と同様の事故を起こさぬよう、安全な医療に取り組む」として、謝罪した。市は、賠償に関わる議案を12月4日開会の市議会に提出する。【石塚誠】

出典:毎日新聞

医療事故調査制度 活用進まず 報告48件、東北低調

医療法に基づく医療事故調査制度の活用が進んでいない。制度が義務付けている「患者の予期せぬ死亡や死産」が起きた際の第三者機関への報告件数が、当初想定の半数以下にとどまり低調だ。制度の未活用は遺族から真相究明の機会を奪いかねず、医療機関の姿勢と患者側への周知が大きな課題となっている。(報道部・横山勲)

国指定の第三者機関である日本医療安全調査機構(東京)によると、制度が始まった2015年10月~今年11月末の事故報告は全国で計824件で、当初想定の年間1300~2000件を大きく下回る。東北6県では計48件にとどまる。
制度は、機構への届け出と院内調査、遺族と機構への調査結果の報告を義務付ける。調査には弁護士や大学教授ら外部の専門委員が原則として参加し、医師への聞き取りやカルテの確認などで事故原因を分析。遺族が調査結果に不服なら機構に再調査を依頼できる。
ただ、調査対象にするかどうかは事故が起きた医療機関の管理者(院長)の判断に委ねられる。医療機関側が患者の死亡を「予期できた」とみなして調査に入らなかったり、制度を遺族に説明すらしなかったりするケースが目立つという。
機構の医療事故調査・支援センターの担当者は「医療機関側は訴訟リスクや風評を気にして制度活用に消極的だ。院内調査が文化として根付くには時間がかかる」と話す。
制度は昨年6月、届け出がない事故の相談を遺族から受け付けた機構が事故の起きた医療機関に確認する仕組みに見直された。しかし制度の存在が患者側に浸透しておらず、改善は道半ばの状態だ。
医療訴訟で患者側代理人を担う弁護士らでつくる仙台医療問題研究会が毎年実施している無料電話相談会では、医療機関の説明に納得できない場合に対処方法が分からず戸惑う遺族が多いという。
研究会の事務局長を務める十河弘弁護士(仙台弁護士会)は「制度の本来の目的は予期しない死亡事故の再発防止だ。法的責任が問われる事態になっても医療機関側の真相究明への覚悟や姿勢を示すことで、遺族や他の患者からの信頼獲得につながるはずだ」と指摘する。

出典:河北新報

手術で後遺症女性 7千万円支払いで病院側と和解

神戸市立医療センター西市民病院(神戸市長田区)で手術を受け、高次脳機能障害を負ったとして、同市兵庫区の40代女性が慰謝料など約8800万円の損害賠償を求めた訴訟が9日までに、神戸地裁で和解した。同病院を運営する地方独立行政法人「神戸市民病院機構」(同市中央区)が女性に7千万円を支払う。

和解は昨年12月25日付。同機構や主治医らが「医療事故の発生について遺憾の意を表明する」といった内容も盛り込まれた。

訴状によると、女性は2012年8月、同病院で胸腔鏡による腫瘍の摘出手術を受けた際、医師が血管を損傷したため大量に出血。低酸素脳症となり、知的低下や記憶障害などを負った。女性は15年3月に提訴し、「医師が注意を怠って血管を損傷させた。大量の出血を止血し、輸血などをする体制を整えてもいなかった」などと主張していた。

同病院は取材に対し、「今後も再発防止に努めていきたい」としている。

出典:神戸新聞NEXT

吹田徳洲会病院 輸血ミス2件、10月から相次ぐ

吹田徳洲会病院(大阪府吹田市)は29日、誤った血液型で輸血するミスが10月以降、2件発生していたと明らかにした。うち1件で患者は3日後に死亡。同病院は「輸血ミスと死亡の因果関係はない」としている。

同病院によると、10月17日に大動脈解離で心肺停止状態の血液B型の60代女性に手術をした際、看護師が誤ってA型の血液280ミリリットルを輸血した。女性は同20日に多臓器不全で死亡した。ただ、異型輸血に伴って赤血球が壊れる「溶血」と呼ばれる副作用が起きておらず、死亡との因果関係はないと判断した。

12月5日には、O型の入院患者の40代男性に対し、別の看護師がA型の血液を輸血。すぐに気づいて取り外し、輸血量は10ミリリットル未満だった。健康への影響はないという。

いずれも看護師の確認が不十分だったのが原因。病院は本人や家族に謝罪し、確認を徹底するよう院内マニュアルを改めた。【大久保昂】

出典:毎日新聞

ガーゼが体内に 44年後見つかる 名大病院、女性に謝罪

名古屋大付属病院(名古屋市昭和区)は20日、愛知県在住の80代女性を2014年に手術した際、体内からガーゼのような物が見つかったと発表した。1970年に同病院で手術した時に取り残した可能性が高いという。女性は長年、腹痛などを訴えており、病院側は「異物が体内にあったことと無関係ではない」と説明し、本人と家族に謝罪した。

同病院によると、70年は不妊症対策の手術で、産婦人科が担当した。その後、骨盤内腫瘍が見つかり、14年4月に直腸の一部を切除する手術を受けた。切除した腫瘤(しゅりゅう)を病理検査したところ、一部にガーゼに似た異物があった。【山田一晶】

出典:毎日新聞

患者体内にスポンジ、埼玉県立がんセンターで医療ミス

埼玉県立がんセンター(同県伊奈町)は22日、肺がんの内視鏡手術を受けた患者3人について、術後に取り除く必要のある手術用スポンジを体内に放置するミスがあったと明らかにした。うち1人は手術で除去し、2人は対応を相談中。いずれも現時点で健康状態に問題はないという。

センターによると、スポンジは体液の吸収などに使われ、ポリウレタン製で縦横3~5センチ、厚さ1・5センチ。11月上~中旬、手術後のコンピューター断層撮影(CT)検査などで、女性(84)と男性(81)の体内に残っていることが相次いで発覚した。

肺がんの内視鏡手術でスポンジを使い始めた昨年7月以降の計47件で、エックス線画像などを点検したところ、2月に手術した女性(79)の体内からも見つかった。今後、肺以外の内視鏡手術でスポンジを使った500件以上についても確認する。

センターは医師や看護師の確認が不十分だったと説明。坂本裕彦病院長は「大変申し訳ない。このようなことがないよう力を注ぐ」と謝罪した。(共同)

出典:日刊スポーツ

処方薬の濃度738倍で患者死亡 院内製剤の医療ミス

2017年10月3日の各種マスコミによると、京都大医学部付属病院で外来通院して治療を受けていた60歳代の女性患者が、9月26日に自宅で同院より処方された「セレン製剤」を自宅で点滴したのちに、背中の痛みを訴え、翌日朝に同院を受診し、諸検査を施行したが異常は認めなかったが、その後、容態が急変し、同日午前中に鬼籍に入ったと報じている。

同院では処方されずに残っていたセレン製剤を調査したところ、医師が処方箋を提出した数値よりも実に738倍の高濃度である41700μg/mLであったことが判明。同院では、9月25日にも別の患者でセレン製剤を輸液と混ぜる際に変色したことを確認しているが、原因を調査中とのことで、死亡した女性患者には対応できず不幸な事件が発生してしまった。

薬剤師による院内輸液製剤の調整は慎重に行う必要がある

セレン製剤は市販されていないため、医療施設では医師の要望により「薬剤部」が院内調整を行っている。セレン注射剤の場合には、亜セレン酸ナトリウム66.6mgと注射用水400mLを滅菌した器具を使用し、高圧蒸気滅菌する調整法が広く用いられている。その後、冷所保存し、必要に応じてセレン注射剤を輸液製剤に注入して患者に点滴を行うことになる。

この事件では、亜セレン酸「66.6mg」を「66.6g」と秤量ミスした可能性も懸念されている。京大病院では、セレン製剤を2名の薬剤師で調整していたとのことであったが、ダブルチエックを行ったにもかかわらず、このような事故が発生したことは残念でならない。

セレンの生体内での働き

セレンはミネラルの一種で、体内を維持するための必須微量元素のひとつである。生体内で細胞膜に含まれる不飽和脂肪酸が酸化されて過酸化脂質に変化して動脈硬化を誘発するが、セレンはこのような生体内の酸化を抑制する働きのある「グルタチオンペルオキシダーゼ」を活性化させる中心的な役割を果たす。

また最近では、生体の老化を防止し、免疫機能を高めることにより、がんの予防効果も存在するため、がんの標準療法と併用してセレン製剤の治療的役割が注目されている。

セレンは海藻類、魚介類、肉類、卵黄に多く含まれている。これらの食物を十分摂取していれば、セレンについての過不足は起こらない。

 

セレンの欠乏症と過剰症について

セレン欠乏症になると、筋肉痛、不整脈、爪の変色、貧血、心筋障害、動脈硬化、甲状腺の機能低下などを誘発される。経口摂取ができず、高カロリー輸液のみで栄養を補っている患者では、特に欠乏しやすい。京大病院の症例でも、セレンが欠乏し、上記の如き症状を呈したため、セレン注射剤が含まれた点滴を行ったものと思われる。

セレン過剰症では、まず脱毛、嘔気、嘔吐、下痢、脱力感を訴えることが多い。さらに病状が増悪すると、吐血、急性腎不全、肝機能障害、神経障害を引き起こすことになる。京大病院における女性患者の背中の痛みは、心筋障害が誘発されたことによるものと推察される。

また最近のサプリメント、特に外国からの輸入品では、含有成分量は不確かな製品も見受けられるため、過量服用しないよう心がけることが必要である。

医療スタッフの判断ミスが重大な患者への悪影響を及ぼす

急性薬物中毒は、向精神薬や化学薬品などの大量服用により引き起こされ、個々の患者およびそれにかかわる医療スタッフ、特に治療する医師がともに密接に接することにより、未然に対策を講じることも可能である。

しかし、院内製剤の調整に関する医療ミスは、患者サイドでは防ぎようがないのが現状である。医療施設での製剤の調整工程やスタッフの厳重な教育・管理が必要であろう。

出典:HEALTH PRESS

無痛分娩の死亡事故、院長を書類送検へ 大阪府警

大阪府和泉市の産婦人科医院「老木(おいき)レディスクリニック」で1月、麻酔でお産の痛みを和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」で出産中の女性(当時31)が意識不明になり、その後死亡した事故で、府警は6日、男性院長(59)を業務上過失致死容疑で書類送検する。無痛分娩をめぐる事故が各地で相次ぐ中、医師が立件されるのは異例だ。府警は容体急変後に適切な処置を怠ったことが過失にあたると判断した。

府警によると、院長は1月10日、同クリニックで同府枚方市の長村千恵さんが無痛分娩で次女を出産中に呼吸困難に陥った際、呼吸回復のための必要な処置を怠り、同20日に搬送先の病院で死亡させた疑いがもたれている。次女は帝王切開で生まれ、無事だった。院長が無痛分娩処置を行い、小児科医と助産師、看護師が補助していたという。

長村さんは脊髄(せきずい)を保護する硬膜の外側に細い管を入れ、麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を受けた後、「息が苦しい」と訴えていた。院長が看護師らと人工呼吸や心臓マッサージをしたが心肺停止状態になり、堺市西区の病院に搬送され意識が戻らないまま死亡した。

一般的に医療事故で刑事責任を問う際には慎重な判断が求められ、今回のように無痛分娩をめぐる事故では前例がほとんどない。

府警の司法解剖の結果や複数の専門医の鑑定書から、長村さんは麻酔が効きすぎたことで呼吸困難に陥った可能性が高いことがわかったという。院長は、人工呼吸器を装着して強制的に肺に酸素を送り込む「強制換気」をしていなかったとされ、府警はこの点を過失に問えると判断した。強制換気は専門分野を問わず、患者が自発呼吸をできなくなった際に医師が施す一般的な処置だという。院長は事情聴取に「パニックになり、強制換気ができなかった。容体の変化の速さに対応が追いつかなかった」と話しているという。

今後は大阪地検が起訴の可否などを判断することになる。クリニックの代理人弁護士は「詳細は答えられないが、院長は『できる限りのことはやった』と説明している」と話した。(大部俊哉、長谷川健)

■父親「あまりに無念」

「娘は次女を抱くこともできないまま亡くなった。こんな悲しい事故は二度と起きてほしくない」。同クリニックで無痛分娩で意識を失い、その後死亡した長村千恵さん(当時31)=同府枚方市=の父親、安東雄志さん(68)が朝日新聞の取材にそう語った。

千恵さんは安東さんの三女。水泳が得意だった兄に憧れ、幼いころから水泳教室に通った。「負けん気が強く明るい性格。常に家族の中心にいる頼もしい娘だった」。大学時代は柔道部のマネジャーを務め、卒業後はスポーツインストラクターになった。2011年に結婚し、14年に長女を出産。次女の誕生を心待ちにしていた。

長女の出産後に腰を痛めたため、次女の出産では無痛分娩を望んだ。千恵さんはインターネットなどで医院の評判を調べ、実家から近い同クリニックを選んだ。ホームページの「複数名麻酔科医が在籍し、産科医、スタッフなどが体制を整えている」といった説明に納得した様子だった。

出産日の今年1月10日夕。容体が急変して搬送された総合病院に安東さんが駆けつけると、千恵さんは話すこともできず、ぐったりしていた。救急車で同行した院長に「何が起きたのか」と聞くと、「(麻酔薬などでアレルギー反応が起きる)アナフィラキシーショックではないか」と答えたという。

千恵さんは10日後、息を引き取った。

安東さんが「なぜ速やかに呼吸の回復処置をしなかったのか」と聞くと、院長は「気管内挿管などをして体を傷つけたくなかった。やるべきことはすべてやった」と答えたという。安東さんは「基本の処置が行われなかった」と訴える。

今回、実際には麻酔科医は立ち会っていなかった。「無痛分娩は年々普及しているが、麻酔の専門医が常駐せず態勢が整っていない医院はほかにもあるようだ。きちんとした環境を整えることが優先されるべきではないか」と話す。

いま、長女は2歳。寂しくて、「お母さん、お母さん」と泣き出すときがある。安東さんは「あまりに無念」と声を落とした。(長谷川健)

■日本産婦人科医会「刑事事件化には反対」

院長の書類送検について日本産婦人科医会の石渡勇常務理事は「お産に伴い母子が亡くなった場合などで民事上の責任を負うことは当然あるが、刑事事件化には反対だ」と語る。

今回は母親が亡くなったが、石渡さんは「赤ちゃんの方を助けようとした可能性もある。そこは医師の裁量の範囲で判断が間違っていると言い切れないのではないか」と述べたうえで、「リスクを恐れて無痛分娩(ぶんべん)の実施施設が減れば、ハイリスクの妊婦を受け入れるべき医療機関に(無痛分娩を望む)妊婦が集まり、周産期医療体制が壊れてしまう」と懸念する。

産科医療を巡っては、2004年に福島県立大野病院で出産時に女性が死亡し、福島県警が業務上過失致死と医師法違反容疑で担当医を逮捕。無罪判決が確定したが、手術法をめぐる医師の判断が適切だったかが問われ、議論が起きた。産科医不足に拍車をかけたとも指摘される。この事故などを踏まえ、再発防止に役立てるために病院などが自ら原因を調べ、遺族や第三者機関に報告する「医療事故調査制度」も始まっている。(佐藤建仁)

出典:朝日新聞デジタル

「膵臓がん」5カ月放置、男性死亡-横浜市大センター病院

横浜市立大学付属市民総合医療センター(同市南区)は30日、検査で膵臓(すいぞう)がんの疑いが指摘された神奈川県横須賀市の70代男性に約5カ月間、適切な治療をしていなかったと発表した。担当医らが検査結果を見落としたことが原因で、男性はがんが進行し、今月16日に亡くなった。
同センターによると、男性は1月下旬に腹部大動脈瘤(りゅう)の検査入院をした際、コンピューター断層撮影(CT)検査で首の下から腹部までを撮影。放射線科医がCT画像全体を見て、「膵臓がんの疑い」とする画像診断書を作成したが、担当医らが診断書を見ていなかったため、センターはがんの治療をしなかったという。担当医らは「大動脈瘤に気を取られ、気付かなかった」と話している。
男性は6月27日に他の病院で受けた定期健診の際に膵臓がんの疑いと指摘され、翌28日に同センターで膵臓がんと診断された。センター側はミスを認め、家族に謝罪した。
同センターの後藤隆久病院長の話 今回の医療事故を引き起こしたことを深く反省し、再発防止に向けて、全力で取り組む。

出典:時事ドットコムニュース

医療ミスでぼうこう結石、ステント2年超放置 高知

高知県は5日までに、県立あき総合病院(安芸市)で手術した70代女性の尿管にプラスチック製のステント(筒)を2年以上にわたり放置し、ぼうこう結石ができる医療ミスがあったと発表した。女性は別の病院で結石とステントの除去手術を受け、現在は回復している。

県によると、あき総合病院は2015年1月、女性に手術をした際、尿の流れを確保するため尿管に直径2ミリ、長さ26センチのステントを設置した。本来は手術後1~3カ月で除去か交換をするが、担当の医師が再診日を設定するのを忘れ、放置していた。

今年4月、体調不良を訴えた女性が同病院を受診し発覚した。病院側は今後、女性に賠償金を支払う方針。

前田博教病院長は「多大なる心身のご負担とご迷惑をおかけし、深くおわび申し上げる。診察の予約が確実に担保される仕組みを構築する」とのコメントを出した。〔共同〕

出典:日本経済新聞