心臓の手術中に医療ミス、障害残る可能性 久留米大病院

今年5月、久留米大学病院(福岡県久留米市)で、70代男性に心臓手術をした際に医療ミスがあったことが分かった。男性は低酸素脳症になり、高次脳機能障害が残る可能性があるという。病院側はミスを認め、男性と家族に謝罪した上で、9月に病院のホームページに事故を公表した。

大学側によると、男性は5月に心臓弁の手術を受けた。血管内に入った空気を除去する必要があったが、人工心肺装置のポンプにチューブをさす際に入り口側と出口側を逆にしたため、血管内に空気が送り込まれ、脳内の血流が妨げられ、脳に酸素が十分行き渡らなくなったという。

外部の医師らによる医療事故調査委員会が設置され、「一つのエラーについて、複数のチェックが機能しておらず、間違いに気づいて修正することができなかった」と指摘した。大学側によると、手術は医師や看護師、技師らがあたったが、人工心肺装置を操作するためのマニュアルやチェックリストが適切に機能しなかったという。だが、大学側は取材に「詳しいマニュアルやチェックリストは公表していない」としている。

<アピタル:ニュース・フォーカス・その他>

http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(倉富竜太)

出典:朝日新聞デジタル

2018/9までに千件超の医療事故、制度理解は依然進まず

今年(2018年)9月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は27件。医療事故調査制度発足から、累計1129件の医療事故が報告され、うち72.4%の817件で院内調査が完了。各医療機関の調査スピードがますますアップしている。ただし国民は、本制度を必ずしも十分には理解していない―。

日本で唯一のセンターである「日本医療安全調査機構」が10月3日に、こういった状況を公表しました(機構のサイトはこちら)。

2018年9月の医療事故報告件数、外科や内科などで3件

すべての医療機関は、院長など管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてをセンターに報告する義務を負います(医療事故調査制度、2015年10月スタート)。医療事故調査制度は、事故の原因を調査・分析して「再発防止策」を構築し、医療現場に広く共有することを目的としています。

センターでは、これまでに重大な事故について詳細を分析し、(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析(4)気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析(5)腹腔鏡下胆嚢摘出術に係る死亡事例の分析(6)栄養剤投与目的に行われた胃管挿入に係る死亡事例の分析—という6つの再発防止策を公表しています。

医療事故調査制度の流れをお浚いすると、大きく次のように整理できます(関連記事はこちら)。

▼医療事故の発生を確認した管理者は速やかに、センターに事故発生の旨を報告する

▼当該医療機関で事故原因を調査【院内調査】し、調査結果をセンターに報告する

▼当該医療機関は、調査結果に基づいて事故の内容や原因について遺族に説明する(調査結果報告書を提示することまでは不要とされている)

▼センターが事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを練る

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける
医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

我が国唯一のセンターに指定されている日本医療安全調査機構は、毎月、医療事故報告の状況を迅速に公表(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。今年(2018年)9月には、新たに27件の医療事故が報告され、制度発足からの累計報告件数は1129件となりました。

2018年9月に新たに報告された事故の内訳は、病院からが25件、診療所からが2件で、制度発足からの累計では、病院から1061件(事故全体の94.0%)、診療所から68件(同6.0%)となっています。

2018年9月に新たに報告された事故を診療科別に見ると、▼外科3件▼内科3件▼循環器内科3件▼産婦人科3件―などで多くなっています。制度発足からの累計を見ると、▼外科193件(同17.1%)▼内科140件(同12.4%)▼消化器科98件(同8.7%)▼整形外科94件(同8.3%)―などという状況です。
医療事故の現況(2018年9月)1 181003

センターへの相談件数は累計5749件、依然として「国民の制度への理解」が重要課題

前述したとおり、センターに報告しなければならない医療事故は、医療機関内で生じたすべての死亡・死産事例ではなく、そのうち「院長などの管理者が▼予期しなかった▼医療に起因し、または起因すると疑われる—もの」に限定されます。火災などで瀕死の状態で救急搬送され、適切な治療を施したにも関わらず死亡してしまった場合に、一般に「死亡が予期」され、そもそも医療事故に該当しないと考えられるためです。もっとも、そうした患者であっても、明らかな処置上のミスなどがあり、通常の過程とは異なるプロセスで死亡した場合には、「予期しなかった」ものとして報告が必要となります。

この点、医療現場では「患者が死亡したが、報告すべき医療事故に該当するか?」という疑問が生じるケースがあります。また、初めて事故報告をする際には「センターへ、どのように報告すればよいのか?」との疑問も生じるでしょう。一方、遺族側には「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていないようだ。事故を隠蔽しようとしているのではないか?」との疑念がわくケースもあるかもしれません。

こうした疑問・疑念を放置することは、制度の信頼を揺るがせ、基盤を脆弱にしてしまうため、センターでは相談対応を行っています。今年(2018年)9月には、新たに120件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計では5749件にのぼっています。

2018年9月に寄せられた新たな相談の内訳は、▼医療機関から49件▼遺族などから58件▼その他・不明13件―となっています。

医療機関からの相談内容を見てみると、最も多いのは「報告の手続き」に関するもので26件(医療機関からの相談の53.1%)。次いで「院内調査に関するもの」が14件(同28.6%)、「報告すべき医療事故か否かの判断」が7件(同じく14.3%)となりました。医療現場への制度の浸透が強く伺えます(関連記事はこちらこちら)。

一方、遺族などからの相談内容に目を移すと、依然として「医療事故に該当するか否かの判断」が大半を占め、42件(遺族などからの相談の72.4%)となっています。また、こうした該当性に関する相談の中には、「制度開始前の事例」「生存事例」など、そもそも報告対象とならないものも含まれており、「医療現場と一般国民との医療事故調査制度に対する認識のズレ」は、広まる一方と言わざるを得ない状況です。いかに医療現場が正しく報告を行い、適切に制度を運用していても、一般国民の信頼がなければ制度の礎は脆くなります。今一度、一般国民に医療事故調査制度を周知していくことが必要です。
医療事故の現況(2018年9月)3 181003

センターへの調査依頼は新たに2件、全75件中8件でセンター調査が完了

前述したように、医療事故調査制度の目的は「再発防止」です。このため、まず事故が発生した医療機関が、自ら原因究明に向けた調査【院内調査】を行ことが求められます。院内調査の過程で自院の体制を点検し、再発防止策を構築することが再発防止の近道と考えられるためです。

今年(2018年)9月に新たに院内調査が完了した事例は30件で、制度発足からの累計では817件となりました。これまでに報告された全1129件の医療事故のうち72.4%で院内調査が完了している計算です。院内調査のスピードはますまs増加しており、医療機関サイドの努力が伺えます。
医療事故の現況(2018年9月)2 181003

ところで、遺族の中には「院内調査の結果に納得できない」「院内調査が遅い。時間稼ぎをしているのではないか」と感じる人もいることでしょう。またクリニックなど小規模医療機関等では「自院で院内調査を実施することが難しい」ケースもあります(医師会や病院団体などの支援団体によるサポート体制もある)。

そこで、センターでは、「遺族や医療機関からの調査依頼を受け付ける」体制も整備しています。ただし、一から調査するのではなく、「院内調査が時期・内容ともに適正に実施されたか」という観点での調査が中心となります。

今年(2018年)9月に、センターになされた調査依頼は遺族からの2件でした。制度発足からの累計調査依頼件数は75件(遺族から60件・80.0%、医療機関から15件・20.0%)です。進捗状況を見ると、▼センター調査終了が8件(前月から1件増加)▼院内調査結果報告書の検証中(院内調査が適切に行われたかどうかを確認)が66件▼院調査結果報告書の準備作業中が1件—となっています。

出典:メディ・ウォッチ

両顎骨折患者に誤って「おかゆ」 骨にずれ、再手術必要に

兵庫県災害医療センターは26日、上下の顎を骨折した40代の男性患者に流動食を提供するはずが、誤って2日間、おかゆを提供していたと発表した。男性患者が骨折した顎で飲食したため、固定していた骨にずれが生じ、再手術が必要になったという。

同センターによると、患者は7月25日にミニバイクでトラックに追突し、救急搬送された。両顎を含め、顔面に多発骨折があったことから8月10日に骨を正常な位置に戻して固定する手術を受けた。

執刀した30代の女性医師は、担当医の20代男性医師に流動食を指示したが、男性医師が食事を頼む際に「全粥(ぜんがゆ)食」と誤って記載した。患者が完食したこともあり、看護師らはミスに気付かなかった。後日の検査で骨のずれが見つかり、食事の提供ミスが発覚した。

同センターは「顔面骨折後の食事は基本的に流動食から開始するということが、院内で共通認識としてなかった。今後は食事内容を担当医と上級医でダブルチェックしていく」としている。(前川茂之)

出典:神戸新聞NEXT

「治療遅れ指切断」弘前病院を提訴 青森地裁支部

青森県弘前市の国立病院機構弘前病院で手術を受けた市内の女性が16日までに、医療ミスで手足の指を失ったなどとして、病院を運営する国立病院機構(東京)に約6500万円の損害賠償を求める訴えを青森地裁弘前支部に起こした。
訴状によると女性は昨年5月、子宮筋腫で子宮の摘出手術を受けた。翌日に腹痛を訴え、約9時間後に別の病院へ搬送された。穴が開いた直腸の切除手術を転院先で受けたが、敗血性ショックによる末梢(まっしょう)循環不全で左手中指と両足の指を切断した。
原告側は、腹痛を訴えた時点で血液検査などをしていれば敗血性ショックを避けられたと主張している。弘前病院は「主張は裁判の中で明らかにする」としている。

出典:河北新報

横手病院の患者死亡訴訟、遺族側が上告

下腹部の痛みを訴えて横手市立横手病院を受診した40代女性が死亡したのは医療ミスが原因だとして、遺族が市に約1億900万円の損害賠償を求めた訴訟で、遺族は11日、医師の過失を否定した仙台高裁秋田支部判決を不服として上告した。判決によると、女性は2014年6月、下腹部痛などから消化器内科を受診し、腸閉塞(へいそく)と診断されたが、女性は月経との関連性を主張した。同年8月に女性が死亡した後の病理解剖の結果、死因は回腸子宮内膜症による敗血症性ショックと判明した。

出典:河北新報

2人とも”医療事故”で死亡した夫婦の悲劇【慈恵医大病院】

画像診断の情報量急増に病院が対応できない

画像診断でがんの見落としが続発している。

昨年1月、東京慈恵医科大学病院(東京・西新橋)で主治医がCT(コンピューター断層撮影)検査の画像診断の結果を見落として、70歳代の男性が死亡した。これ以降、同年10月には名古屋大学病院、今年6月には千葉大学病院と横浜市立大学病院、翌7月には東京都杉並区の民間病院で、がんの見落としが発覚した。

千葉大病院のケースでは患者9人に画像診断ミスがあり、そのうち4人の治療に影響し、2人が死亡している。

これまで厚生労働省は全国の病院に文書で注意喚起を求めてきた。だが、見落としが相次ぐ背景には、画像診断技術の高度化にともなって情報量が急増し、病院側が十分に対応できなくなっていることがある。その結果、画像診断を担当する放射線科医と患者の主治医との連携不足が生じている。

東京・港区西新橋の東京慈恵会医科大学付属病院玄関(写真=時事通信フォト)

慈恵医大のミスが連続発覚のきっかけ

慈恵医大病院で見落としによる患者死亡という医療事故が発覚したのは、2017年1月31日のNHKの報道がきっかけだった。

患者は東京都町田市に住む72歳の男性で、1年前のCT検査で肺がんの疑いがあった。しかし、主治医が検査結果を確認せず、約1年間も放置した。がんは処置ができないほど進行し、男性は2017年2月16日に亡くなった。

担当医が検査結果を見逃す。考えられない医療事故だ。大病院がなぜ、こんな単純なミスを犯すのだろうか。

慈恵大病院で死亡した男性の妻も、別の大学病院で医療事故に遭って死亡している。夫婦そろって理不尽な医療事故に巻き込まれていたのである。

出典:PRESIDENT Online

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医療事故調査制度発足から千件超の報告、7割超で院内調査完了

今年(2018年)6月に医療事故調査・支援センター(以下、センター)に報告された医療事故は31件。医療事故調査制度発足から、累計1028件の医療事故が報告され、うち7割超の728件で院内調査が完了。各医療機関の調査スピードがますますアップしている―。

日本で唯一のセンターとして指定されている「日本医療安全調査機構」が7月9日に、こういった状況を公表しました(機構のサイトはこちら)。もっとも、機構では「事故発生から報告までの期間が延びている」とのデータも発表しており、今後、時期を見て詳細な分析を行うことが必要でしょう(関連記事はこちら)。

2018年6月の医療事故報告件数、外科で5件、消化器科・整形外科等で各3件

2015年10月から、すべての医療機関において、院長など管理者が予期しなかった「医療に起因し、または起因すると疑われる死亡・死産」のすべてをセンターに報告することを義務付ける「医療事故調査制度」がスタートしました。この制度では、事故の原因を調査し、明らかにする中で、「再発防止策」を構築し、広く共有することを目的としています。

センターでは、これまでに重大な事故について詳細を分析し、(1)中心静脈穿刺合併症に係る死亡の分析―第1報―(2)急性肺血栓塞栓症に係る死亡の分析(3)注射剤によるアナフィラキシーに係る死亡事例の分析(4)気管切開術後早期の気管切開チューブ逸脱・迷入に係る死亡事例の分析—という4つの再発防止策を公表しています。

医療事故調査制度の大きな流れを確認すると、▼医療事故発生を確認した管理者は速やかに、センターに事故発生の旨を報告する → ▼当該医療機関で事故原因を調査【院内調査】し、調査結果をセンターに報告する → ▼当該医療機関は、調査結果に基づいて事故の内容や原因について遺族に説明する(調査結果報告書などの提示までは不要) → ▼センターが事故事例を集積、分析し具体的な再発防止策などを練る—というものです(関連記事はこちら)。

医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける
医療事故調査制度の概要、「院内調査」を第一に行い、「医療事故調査・支援センター」がそれを補完する格好で調査が行われ、再発防止策に結びつける

我が国唯一のセンターである日本医療安全調査機構は、毎月、医療事故報告の状況を極めて迅速に公表(前月の状況は こちら、前々月の状況はこちら)。今年(2018年)6月には、新たに31件の医療事故が報告され、制度発足からの累計報告件数は1028件と、1000件の大台に乗りました。

2018年6月に新たに報告された事故の内訳は、病院からが29件、診療所からが2件で、制度発足からの累計では、病院から965件(事故全体の93.9%)、診療所から63件(同6.1%)となっています。

2018年6月に新たに報告された事故を診療科別に見ると、▼外科5件▼消化器科3件▼整形外科3件▼循環器内科3件▼心臓血管外科3件―などで多くなっています。制度発足からの累計を見ると、▼外科176件(同17.1%)▼内科130件(同12.6%)▼消化器科89件(同8.7%)▼整形外科87件(同8.5%)―などという状況です。徐々に「さまざまな診療科で事故が報告されてきている」状況が伺えます。

2018年6月に、新たに31件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で1028件の医療事故が報告され、1000件の大台に乗った
2018年6月に、新たに31件の医療事故が報告され、制度発足(2015年10月)からの累計で1028件の医療事故が報告され、1000件の大台に乗った

 

センターへの相談件数は累計5302件、「遺族の制度への理解」が依然として重要課題

前述のとおり、センターに報告しなければならない医療事故は、医療機関内で生じたすべての死亡・死産事例ではなく、そのうち「院長などの管理者が▼予期しなかった▼医療に起因し、または起因すると疑われる—もの」に限定されます。例えば、火災などに巻き込まれ瀕死の状態で救急搬送され、適切な治療を施したにも関わらず死亡してしまった場合には、一般に「死亡が予期される」ため報告の必要はありません。しかし、そうした患者であっても、例えば明らかな処置のミスなどがあり、通常の治療過程とは異なるプロセスで死亡した場合には、「予期されなかった」ものとして報告が必要となります。

医療現場では「患者が死亡したが、報告すべき医療事故に該当するか?」という疑問が生じることもあるでしょうし、初めて事故報告をする際には「センターへどのように報告すればよいのか」との疑問も生じるでしょう。また、遺族が「家族が医療機関で死亡したが、医療事故として報告されていない。事故を隠蔽しようとしているのではないか」といった疑念を抱くこともあるでしょう。

これらの疑問・疑念を放置することは制度の信頼を揺るがすため、センターでは相談対応を行っています。今年(2018年)6月には、新たに185件の相談がセンターに寄せられました。制度発足からの累計相談件数は5302件にのぼっています。

2018年6月に寄せられた新たな相談の内訳は、▼医療機関から67件▼遺族などから110件▼その他・不明8件―となっています。

医療機関からの相談内容を見ると、もっとも多いのは「報告の手続き」に関するもので45件(医療機関からの相談の67.2%)。次いで「院内調査に関するもの」が17件(同じく25.4%)、「報告すべき医療事故か否かの判断」が11件(同じく16.4%)となりました。制度発足から3年近くが経過しており医療現場へ制度が浸透していること、また2年前(2016年6月)に医療事故調査制度の運用改善(医療事故該当性の判断などを標準化するための「支援団体等連絡協議会」を設置するなど)が行われたため、事務的な相談が大半を占める状況になっていると言えます(関連記事はこちらこちら)。

一方、遺族などからの相談内容を見ると、依然「医療事故に該当するか否かの判断」が大半を占め、83件(遺族などからの相談の75.5%)となっています。またこうした該当性に関する相談の中には、「制度開始前の事例」「生存事例」など、そもそも報告対象とならないものも含まれており、「医療現場と一般国民との医療事故調査制度に対する認識のズレ」が拡大していく点が気になります。医療現場が正しく報告し、センターで適切に制度を運用しても、一般国民から疑念の目で見られてしまっては、制度運用の礎となる「信頼感」が失われてしまう可能性もあるためです。さまざまな機会を通じて、これまで以上に、一般国民に医療事故調査制度を周知していくことが必要でしょう。

センターへの相談は2018年6月に185件あり、うち67件が医療機関から、110件が遺族などからのものとなっているが、これらの中には「制度の対象外の事例」も含まれている点には注意が必要である
センターへの相談は2018年6月に185件あり、うち67件が医療機関から、110件が遺族などからのものとなっているが、これらの中には「制度の対象外の事例」も含まれている点には注意が必要である

 

センターへの調査依頼は新たに6件、全69件中5件でセンター調査も完了

上述したように、医療事故調査制度の目的は「再発防止」にあります。このため、事故が発生した医療機関が、自ら原因究明に向けた調査【院内調査】を行い、それを踏まえて自院の体制を点検し、再発防止策を構築することが重要です。

今年(2018年)6月に新たに院内調査が完了した事例は31件で、制度発足からの累計では728件となりました。これまでに報告された全1028件の医療事故のうち70.8%で院内調査が完了したことになり、7割の大台に乗りました。院内調査スピードが向上していることを再認識できます。

医療事故を報告した医療機関のうち、新たに院内調査が完了したものは2018年6月に31件、制度発足からの累計で728件となった(報告された事故全体の70.8%)
医療事故を報告した医療機関のうち、新たに院内調査が完了したものは2018年6月に31件、制度発足からの累計で728件となった(報告された事故全体の70.8%)

ところで、遺族の中には「院内調査の結果に納得できない」「院内調査が遅い。時間稼ぎをしているのではないか」と感じる人もいることでしょう。またクリニックなど小規模医療機関等では「自院で院内調査を実施することが難しい」ケースもあるでしょう(医師会や病院団体などの支援団体によるサポート体制もある)。

そこで、センターでは、「遺族や医療機関からの調査依頼を受け付ける」体制も整えています。ここでは「院内調査が時期・内容ともに適正に実施されたか」という観点での調査が中心となります。

この点、今年(2018年)6月に、センターになされた調査依頼は4件ありました。すべて遺族からの調査依頼で、制度発足からの累計調査依頼件数は69件(遺族から54件・78.3%、医療機関から15件・21.7%)で、進捗状況を見ると、▼センター調査終了が5件▼院内調査結果報告書の検証中(院内調査が適切に行われたかどうかを確認)が63件(前月より3県増)▼院内調査結果報告書検証準備産業中が1件—となり、順調にセンター調査が行われていることが伺えます。

西知多総合病院 検体取り違え 患者側と和解 /愛知

東海、知多両市でつくる西知多医療厚生組合の公立西知多総合病院(東海市中ノ池3)は31日、病理検査の検体取り違えなどによって生じた2016~17年の2件の医療事故について、賠償金を支払うことで患者側と和解したと発表した。

事故は▽16年12月、放射線科医師によるCT(コンピューター断層撮影)の画像診断報告書(電子カルテ)を主治医が見落とし、70代男性患者のS状結腸がんの治療開始が遅れた▽17年6月、転移性胃がんだった80代男性患者の検体を他の患者の検体と取り違え、胃潰瘍と誤診され適切な治療が受けられなかった--の2件。

同病院によると、1件目の患者は現在、県がんセンターに転院して治療しており、500万円の損害賠償金を支払うことで和解した。2件目の患者はその後死亡し、相続人から損害賠償の申し出があり、賠償金250万円を支払うことで和解した。

同病院では電子カルテシステムや検体の管理法を改善し、再発防止を図るとしている。【林幹洋】

出典:毎日新聞

県立がんセンターで転移見落とし3年放置 CT検査

兵庫県は22日、県立がんセンター(明石市)で、子宮頸がん手術を受けた40代女性患者のコンピューター断層撮影装置(CT)の画像診断で肺への転移を見落とし、今年4月まで3年間放置していたと発表した。肝臓への転移も見つかり、現在は通院治療している。

県によると、女性は2009年に子宮を全摘出し、15年4月にCT検査を受けた。放射線科医が「肺に転移性の腫瘍の疑いがある」とカルテ上で指摘していたが、男性主治医が確認を怠った。今年4月のCT検査で、腫瘍が大きくなり数も増加していることが分かり、過去の画像を確認して医療ミスが判明した。(共同)

出典:毎日新聞

死亡は「医療ミス」 JA茨城県厚生連などを遺族が提訴

茨城県取手市のJAとりで総合医療センターで、龍ケ崎市の女性(当時64)が死亡したのは医療ミスが原因だったとして、遺族がセンターを運営する県厚生農業協同組合連合会と担当医師ら3人を相手取り、慰謝料2500万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が23日、水戸地裁土浦支部(松田典浩裁判長)であった。被告のJA県厚生連側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を見せた。

検査結果を見落とし、胃がん治療7カ月遅れる

訴状によると、女性は2016年1月15日に脳出血で倒れ、同センターで手術を受けた。翌16日、自発呼吸がみられると判断した担当医師が人工呼吸器の気管チューブを抜いた後、女性は呼吸ができなくなり、いったん蘇生したが、酸素が十分に吸入できない状況が続いたことから、同日に低酸素脳症で死亡した、と主張している。

遺族は「それまで改善傾向だったが、気管チューブを抜いた後に急変した。病院側には誠実な対応をしてほしい」と話した。センター広報室は「主張は裁判の中で明らかにする」としている。

出典:朝日新聞DISITAL